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170話 ページ29

白龍とアンナが城を飛び出して10日。
王宮を空けるのにも限界を感じていた。

日々、白龍は考え込む時間が増えていることには気がついていたがアンナにはどうすることも出来ずにいた。

そんな中、突然の来訪者があった。
『目が(つぶ)れるような貴公子』と言われて思い当たるのは1人しかいない。

指定された場所に行くと、案の定、紅輝が立っていた。

「陛下、城にお戻りください」

開口一番、そう言った紅輝の表情は厳しい。
城では10日以上戻らない皇帝に不信感が広がっているという。

「わかっている。だが今ここを離れるわけにはいかない」

拳を固く握る白龍の目には深い後悔の色が(にじ)む。

「そんな事を言っている間に帰る場所が無くなりますよ」
「何?」
「お分かりになられませんか。絶対的な指導者を失った今、誰もが王座を狙っています。」

王座に座れるのは練家の血筋だけ。
男は白龍、紅輝。女は白瑛と紅玉が候補に上がる。

だが、誰もが年若く実務経験にかける。
つまり周囲は傀儡(かいらい)政治を狙っているのだ。

わざわざ紅輝自ら白龍を連れ戻しにやって来たということは、急を要すという意味だ。
少し疲れた様子の美貌に、白龍は思わずと言うか、自嘲(じちょう)気味にその言葉を口にした。

「お前は父親の復讐(ふくしゅう)をしたいと思わないのか」

「復讐?」と、不愉快そうに眉を寄せた紅輝は、白龍を睨みつけた。

「私がこの隙をつき、貴方から王座を奪うと?」
「出来ぬことではない」
「私の願いは王座ではなく、国の安寧(あんねい)です。」

ようやく国内は白徳帝の末皇子が即位した事で落ち着きを取り戻し、国際連盟への加入で、外交は協調路線へと大きく(かじ)を取った。
これで戦は無くなると、(ちまた)では評判だ。

今ここで紅輝が王座を奪って何になる。
紅輝の言いたい事を察したのか、気まずそうに視線を外した白龍だったが、ふと人の気配に口を閉じた。

「ちょ!押さないで!!」
「きゃあ!素敵!!」
「見えない!どいてよ!!」

ちらっと顔を出しただけの美青年に診療所は大パニックになり、来た途端に追い出されたのは紅輝の方だった。


翌日。

「シャロット先生は賢くて優しくて物語に出てくる王子様みたいで素敵だけど、モランさんが忘れられないわ!!」
「わかるー!百戦錬磨(ひゃくせんれんま)の武将って感じ。男前な上素っ気ないのがまたイイ!」

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飛燕(プロフ) - 令和元年おめでとうございます。 (2019年5月1日 6時) (レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - あいにゃんさん» コメントありがとうございます!励みになります。未だ完結しそうにありませんが、頑張りますのでお付き合いお願いします! (2019年4月26日 12時) (レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
あいにゃん(プロフ) - 小休止が入れている→入れられている の間違いです、連コメ申し訳ありません! (2019年4月25日 20時) (レス) id: a7dec96b64 (このIDを非表示/違反報告)
あいにゃん(プロフ) - 物語の起伏の表現がとてもお上手だと思いました。物語を盛り上げるだけではなく、きちんとその合間に小休止が入れているという点が好きです。まだマギの夢小説を書いていらっしゃる方がいて嬉しいです!応援しています☆ (2019年4月25日 20時) (レス) id: a7dec96b64 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛燕 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年4月25日 6時

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