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アランサイドストーリー 3 ページ22

「おい!聞いたか?隣村にスゴイ腕のいい医者が来てるんだってよ!」

飛び込んできた会話に、ハッと顔を上げた。

「本当かよ!なんでこんなところに」
「小麦色も髪をした異国の医者らしいぜ。貧乏人でも診てくれるって聞いて押し寄せてた周辺の奴らで診療所は連日行列だってさ」


異国のお医者様!!

翔葉は、雲をつかむように通り過ぎていった男の後を追った。

「おじさん!いまのはなし、ほんとう!?隣り村ってどこに村?」
「あ、ああ。北だ。けど、隣村って言っても山一つ越えたとこだぞ」
「ありがとう!」

小屋に飛び込んだ翔葉は、やせ細った花菜に飛びついた。

「かあちゃん!かあちゃん!!大変だ!隣村にうでがいいお医者様が来てるんだって!」

花菜はうっすら目を開けただけだ。

「貧乏人でも診てくれるって!行こう!診てもらおうよ!!」

とは言っても花菜に自力で歩く力は残されていない。
隣町なら!
翔葉は花菜の体の下に自分の体を潜り込ませ、ぐっと持ち上げてみる。
不幸中の幸いか、やせ細った花菜の体を背負い、小屋の外まで連れ出した・・・が、この調子で隣村までたどり着くにはどれ程時間がかかるか。

けれど、今の自分にはそれしかない!

よろめきながら、一歩一歩前へ進む。背負われた花菜が何か言いたげだが、取り合わなかった。
早く!早く!!

「どうした。母親の具合が悪いのか」

突然現れたのは、左顔に大きなやけどの跡を負った男。

「あんた誰?」

この辺りでは見ない顔だ。
そもそも、見るからにオーラが田舎者とは違う。
いかにも飢えや貧しさには縁がなさそうな育ちの良さが(にじ)み出ている。

思わず警戒すると、男の後ろから現れた女が、花菜の体を支えた。

「私達は隣町にきてるお医者様の助手よ。動けない人を診療所に連れて行くお手伝いをしているの」

きっぱりと言い切った女は、見るからに利発(りはつ)そうで、なんとも言えない迫力がある。

「お医者様の!?お願い!助けて!母ちゃんが病気なんだ!!おれ、大きくなったらうんと働いて必ずお金を払うから!お願い、助けて!!」
「わかったわ。流星。こっち!」

流星と呼ばれて、やって来たのは車を引いた立派な黒馬だ。

「馬車・・・」

たまに見た事があるが、こんなに立派なものは初めて見た。

「貸せ。俺が乗せる」
「ほら、一緒に馬車に乗ってお母さんを(はげ)ましてあげなさい。中にあるものは自由に使って構わないから」
「うん!!」

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飛燕(プロフ) - 令和元年おめでとうございます。 (2019年5月1日 6時) (レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - あいにゃんさん» コメントありがとうございます!励みになります。未だ完結しそうにありませんが、頑張りますのでお付き合いお願いします! (2019年4月26日 12時) (レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
あいにゃん(プロフ) - 小休止が入れている→入れられている の間違いです、連コメ申し訳ありません! (2019年4月25日 20時) (レス) id: a7dec96b64 (このIDを非表示/違反報告)
あいにゃん(プロフ) - 物語の起伏の表現がとてもお上手だと思いました。物語を盛り上げるだけではなく、きちんとその合間に小休止が入れているという点が好きです。まだマギの夢小説を書いていらっしゃる方がいて嬉しいです!応援しています☆ (2019年4月25日 20時) (レス) id: a7dec96b64 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛燕 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年4月25日 6時

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