169話 ページ19
畑には芽が出たばかりの大地。
鶏や牛と言った一般的な家畜。
古くはあるが、直されたあとがある家が立ち並んでいる。
元気に走り回る子供を見ると、かつての自分達を思い出し微笑ましくなってしまう。
ところがだ。
一本道を奥に入っていくと様子が変わった。
日陰の家が多くなり、どこか寒々しい。
引き止められるような感覚というのだろうか。
それが目に飛び込んで来たとたん、慌てて白龍を呼び止めた。
「・・・ねぇ、あの子、様子がおかしくない?」
子供が女性を
いや、担ぐと言えるだろうか。
小さな背中では大人を抱えきれず、半分以上ズルズル引きずる格好になっている。
白龍は少年の元に駆け寄った。
「どうした。母親の具合が悪いのか」
声をかけると、少年は警戒するように身を引いた。
「あんた誰?」
「私達は隣町にきてるお医者様の助手よ。動けない人を診療所に連れて行くお手伝いをしているの」
アンナがそう言うと、少年の目に希望の光が宿った。
「お医者様の!?お願い!助けて!母ちゃんが病気なんだ!!おれ、大きくなったらうんと働いて必ずお金を払うから!お願い、助けて!!」
「わかったわ。流星。こっち!」
流星は心得たと言わんばかりに馬車を引いてやって来た。
「貸せ。俺が乗せる」
白龍が母親の体を抱き上げた途端だ。ホッとしたのか、自分の幼さを悟ったのか、その表情は泣き出しそうなものになった。
「ほら、一緒に馬車に乗ってお母さんを
「うん!!」
馬車に乗り込む少年は
母親は病になって家から追い出された。それからずっと1人で守ってきたそうだ。
それも限界だったのだろう。
馬車に乗った途端、安心したのかぐったりと眠り込んでしまったのだった。
大所帯になった診療所では、初期メンバーのモランやAは去り、国に帰って行った。
今では診療所は患者の家族などが、労働力の中心となり回っている。
これがシャロットのやり方らしい。
けれど。
まもなく城を飛び出して10日になろうとしている。
白龍とアンナには決断の日が迫っていた。
34人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
飛燕(プロフ) - 令和元年おめでとうございます。 (2019年5月1日 6時) (レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - あいにゃんさん» コメントありがとうございます!励みになります。未だ完結しそうにありませんが、頑張りますのでお付き合いお願いします! (2019年4月26日 12時) (レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
あいにゃん(プロフ) - 小休止が入れている→入れられている の間違いです、連コメ申し訳ありません! (2019年4月25日 20時) (レス) id: a7dec96b64 (このIDを非表示/違反報告)
あいにゃん(プロフ) - 物語の起伏の表現がとてもお上手だと思いました。物語を盛り上げるだけではなく、きちんとその合間に小休止が入れているという点が好きです。まだマギの夢小説を書いていらっしゃる方がいて嬉しいです!応援しています☆ (2019年4月25日 20時) (レス) id: a7dec96b64 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ