検索窓
今日:30 hit、昨日:10 hit、合計:33,454 hit

32話 ページ32

芸術とは衣食住と同じようにその国の風土、歴史に大きく左右されるものだ。
アルパ国にも古くからの芸能、文化が存在するが、あくまで自国のみで育まれたもの。

「貴国がそれを提供してくださると言うのなら、僕も交渉(こうしょう)の席に座りましょう」
「・・・貴方の考えがわかりません。それは国交を開くに値する対価ですか」
「勿論。何ものにも変えがたい財産だと僕は思いますよ」

相変わらずの笑顔をいくら探っても本心が読めない。

「来国の際には、国内を自由に行動してくださって構いません。不便はさせませんし、衣食住はこちらで手配させていただきます。お考えいただけませんか」

それだけか。
真意は他にあるのではないか。

そう(うたが)っても、ティトスがシャロットに勝てるわけがないのはわかっていた。

「もう1つの条件とは?」
「場所を変えましょう」

シャロット案内したのは、水晶宮の再奥部だった。
水晶の中でこんこんとアランが眠り続けている。

「アラン!!」

水晶に飛びつくようなティトスの反応に、流石のシャロットも驚きを隠せない。

「どうして・・・!どうして君がこんな姿に・・・!!」

悲痛(ひつう)なまでのティトスの叫びは、決して演技などではない。

「アランをご存知だったんですか?」
「・・・直接的な面識はありませんが、よく知っています。」
「ちなみにどのような関係かお聞きしても?」

少し躊躇(ためら)った後、ティトスが打ち明けた内容はシャロットの想像を遥かに超えたものだった。

「・・・僕のルフがシェヘラザード様になる前、女性のマギでした。彼女は1人の男性を王に選び、力を与えた。男性は大きな野望を抱かず、故郷を守り続けた。何年も穏やかな日々が続きました。その中で彼女は王の子供を産んだ。」

マギが王の子供を産んだ?
そんな話聞いたこともない。

「アランは、その子孫です」

成る程。
納得しつつも、狭い島での出来事だ。
ひょっとしたら島民全員が・・・

「最も、マギの力を強く受け継いだのは妹の方ですが」

アオバの事か。
アランが溺愛(できあい)していた赤ん坊を思い出すものの、特に何かを感じ取らなかったような気がする。

「今度は僕の番です。教えてください。何故、こんな事になっているんですか。」

少し考えた末に、「チャムスというジンをご存知ですか?」と訊ねた。

33話→←31話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (21 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
36人がお気に入り
設定タグ:マギ , 練紅炎
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

姉系チート(プロフ) - 更新待ってます! (2018年12月12日 10時) (レス) id: 41a0229c91 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - ☆燐★さん» ありがとうございます。しばらく序章が続きますが、お付き合いお願いします! (2018年12月3日 6時) (レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
☆燐★(プロフ) - 続編待ってました!これからも頑張ってください! (2018年11月29日 16時) (レス) id: 059af8cb76 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:飛燕 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年11月29日 6時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。