10話 ページ10
「じゃあ、いっしょにいこー？」
はい。と、出された小さな手。
甘い誘惑に逆らう力をハルは持っていなかった。
ガサガサ、伸びた草を分入って自宅に向かっていると、向こうから駆けてくる子供の姿があった。
「アラン！！」
アランの姿をした流星だ。
待ち焦がれた様子で、その目は少し
「ぼくがいる。へんなのー」
「・・・再会の一言目がそれか」
がくっと流星は肩を落とした。
「流星ですよ。アラン様。」
「死にかけていたというのに、
「ぼくがぼくのわるぐちいってる。へんなの」
ぼふ。
マヌケな音を立てて、そこにいた子供は
「とりあえず、これで混乱は防げるだろう」
「りゅーせーだぁああ！」
うわぁあああい！
はしゃぐアランに「・・・さっきからそう言っている」とガッカリした流星の声が重なったのだった。
流星がやってきた方から明かりが近づき、「アラン。どこ？アラン」というアンナの声が近づいてきた。
「あ！アラン！！もう、夜に出かけちゃダメって言った・・・、流星！？帰ってきたの？良かった・・・」
流星の後を追ってきたアンナは、アランと流星の後ろにいるハルを見て、明らかに顔が引きつった。
「ば、化け物！！アラン！こっちにおいで！！」
「ばけものじゃないよ！ぼくのおともだちなんだ！ねぇちゃんのばかぁ！ごめんなさいして！」
ぶうと、ふくれっ面をしたアランに、アンナはぴたりと行動が止まった。
「・・・あんた。ひょっとして、ホンモノのアランなの？」
「なにいってんのー？ぼくはぼくだよ。」
へんなのー。と、言いながら、アランは自然にアンナと手をつないだ。
「はやく、おうちかえろ〜」
「もう！馬鹿はどっち！？」
じわっとアンナの目に涙が浮かび上がったけれど、アランは知らん顔で、元気よく
久しぶりに帰ってきた自宅は、アランが知っているものと大きく異なっていた。
屋根がなく、
世話をしていたニワトリ小屋は無く、流星の馬小屋もなかった。
「ぼくのおうち？」
目の当たりにした現実に不安そうなアランを抱きしめ、アンナは泣きそうになった。
「うん！大っきい台風が来てね、屋根を持って行っちゃったんだよ。皆んなで直さなくちゃね！」
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