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43話 ページ43

「へび!ぼくのけんぞくだよ。ハルとりゅーせー。」
「なんっつーか、戦闘(せんとう)向きじゃない眷族だな。」
「いーの!ぼくのとくべつだもん」
「特別?」
「うん!だって、ぼくだけのけんぞくだもん!みんないっしょだよ。へびは、こーえんくんのとくべつ!!」

アランの言葉を飲み込んだ途端、堪えていたはずの涙が、じわっと溢れてきた。

「アラン。・・・紅炎様の命令は絶対だ」
「うん」
「けど・・・、俺は・・・紅炎様に死んでほしくない。それを願っても・・・、許されるだろうか」

2度と会えなくてもいい。
名前を呼ばれなくてもいい。

この世界のどこかで、生きていてさえくれたら・・・、どんな恨みも飲み込み、苦難(くなん)を乗り越えてみせる。

「なにいってんのー?へびは、ぼくのこぶんなんだから、ぼくにくっついてくるんだよ」

まだわかってなかったのか。と、言わんばかりの傲慢(ごうまん)なアランの態度に、くしゃっと顔が(ゆが)んだ。

「・・・そうか・・・。はは。そうだな」

ぐっと、覚悟を決めた青秀はアランの前で(ひざ)をついた。

「貴方に従おう。アラン」



紅炎が章妃の為に作らせた(むね)は、繊細な調度品が並び、庭にはどの季節にでも花が咲いているようにと多くの庭師が(やと)われていた。

そこに作られた東屋(あずまや)は特段、景色が楽しめるように作られている。

「アイラは元気ですか?最後に会った時は互いに(ひど)い姿でしたが・・・」
「ああ。アンタの心配ばかりしていたよ」

共に過ごした時間は短いものの、章妃とアイラは親友とも呼べる仲だ。
アイラの夫であるアグラとも面識はあるが「ウチの嫁さんが世界一」と言い切るアグラに言わせれば、章妃よりアイラの方が美人らしい。

アイラは「嫌味(いやみ)かい?」などと言っていたが、内心ではどれほど喜んでいたことだろう。

「アンタ、この後どうするつもりだ。再婚するのか?」
「まさか。」
「けど、嫌だ。が、まかり通る世の中じゃなさそうだ」

子供達がいなくなった為か。自然とそういう話題になっていった。
粗野(そや)な態度ではあるが、不思議と嫌な気分がしない。

「・・・(さら)ってやろうか?」
「え・・・?」

思ってもみない突然の提案に、さすがの章妃は面食(めんく)らった。

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作者名:飛燕 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年7月29日 10時

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