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42話 ページ42

平伏(へいふく)したバルカークに次いで、章妃は秋明に視線を移した。

「各地にも同様の通達を。決して武力で民を制圧しようなどと考えてはならぬ。」

ぐっと唇を噛んだ秋明は、「かしこまりました」と、深く頭を下げたのだった。



力を使い果たしたアランの気配を察して、部屋に駆け込んできた流星は、真っ青になった。
アランは、白龍との戦いで生死をさ迷い、深い眠りに付いていたこと。
まだ、完治とは言えない状況で、紅炎を救うため無理矢理目覚めた経緯(けいい)を訴えると、紅輝は魔導師達を招集(しょうしゅう)し、アランの魔力回復に努めさせた。


「へび。ぼく、すいかのタネ、ぺってできるよーになったんだ!みててーーー!」

青秀と2人並んで廊下(ろうか)に座り込んだアランは、食べたスイカの種を、ぺ。っと、はき出した。

「あれ?とばない・・・。もっかい!」

ぺっ!

「ふふん!ほらね!!」

()ん反り返ったアランに、青秀は淡い笑顔を見せた。

「アランは紅炎様が好きか」
「うん!だいすき!!」
「そうか。俺もだ」

当たり前のように青秀の膝上(ひざうえ)に座ったアランは、しゃくっと音を立てて西瓜にかぶりついた。
穏やか過ぎる時間だった。

アランからもたらされた情報で、各地に早急の指示が送れた。
現在は国庫が開き、配給が始まっているという。
暴動は防がれたのだ。

夕暮れ時の哀愁(あいしゅう)が、たった1人の主人を思い出させ、青秀の胸を締め付けた。
橙色(だいだいいろ)の空を見上げていると天馬のような生き物が、真っ直ぐこちらに向かってやって来るのが見えた。

「あ!ハルだ!」

庭に駆け出したアランは「ハル〜。ここだよー!」と、ぶんぶん手を振った。

「ただいま戻りました。アラン様」
「うん!!」

ハルは(とろ)けるような笑顔で着地した。

「練 紅明様、一命を取り留めました。アンナ様が手当を続けておりますので、ひとまず安心かと」
「こーはくんは?」
「お元気です。アンナ様にこき使われていらっしゃいました。」
「くふふ!」

ぎゅうっとハルの腕に抱きつくと、ハルも最愛の主人を抱きしめ返した。

「ハル。戻っていたのか」

アランの姿をした流星は、混乱しか招かないため黒馬の姿に戻っていた。
やはり生まれながらの姿の方が楽なのか、流星は馬ライフを満喫(まんきつ)している・・・ような気がする。

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作者名:飛燕 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年7月29日 10時

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