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5話 ページ5

「ちゃむす、どぉしよ?」
『まずは味方を増やすべじゃないかなぁ』

こそっと話しかけると、チャムスからすぐに応答があった。

「はい!みかたをふやすんだ!!」
『・・・。清々しいほど、僕が言ったことそのままだね。』
「味方?あてがあるのかい?」
「うんとぉ、こーきとへびとぉ」

ぽんと浮かんできたメンバーをとりあえず上げてみる。

「練 紅輝は軟禁(なんきん)されている。あてにはならない。同様に紅炎の眷族達も幽閉(ゆうへい)だ」
「ゆーへー?なん・・・??」
「要するに閉じ込められてるってことだね」
「えぇえ。なんでぇ?」

起きてからずっと不満げだったアラン、今日イチの不満顔だ。

「確かに情報戦は、戦の定石(じょうせき)。煌について裏の情報を知っている人物の助力は欲しいところだけれど、忍び込んだところで、捕まってしまえば元も子もない」
「あ。そーだ!!」

名案が浮かんだらしいアランは、元気よく立ち上がった。

「はい!りゅーせーにおねがいして、せんにゅーそーさしてもらう!りゅーせーはおうまさんだから、みつかってもだいじょーぶだもん!!くふふふ!ぼくあったまイイ!」
『子供って楽しそうに悪巧(わるだく)みするよね・・・』
「成る程ねぇ」

呆れたようなチャムスの声と、シャロットの楽しげな声が同時に聞こえた。

「僕もほぼ同意見だ。僕達は異国民。煌の内情に(うと)い。どう考えても協力者が必要だ」


《 バルバッド 》

見頃を迎えた美しい花達が、誰に愛でられることなく咲き誇っていた。

(すい)は、緊張感が続く廊下を歩き、一室で立ち止まった。

「章妃様、失礼いたします」

あれほどの栄華を欲しいままにしていた貴婦人が、今は見る影もなく(うつ)ろげに窓の外を見ていた。

「紅炎は・・・、煌に到着したとか」
「はい。今朝、私も聞きました」
「私も死にたい・・・」

長年を共にした夫と引き離され、こぼれ落ちる涙さえない。
このままでは本当に(はかな)くなりそうな衰弱(すいじゃく)ぶりだ。

章妃には次の嫁ぎ先が決まっており、くれぐれもと言い使っている侍女達はほとほと困り果てていた。

けれど、章妃の気持ちがわからぬもになどこの城にはいない。
紅炎の悪評は知っているが、自分達には良き主人であり、章妃には良き夫だった。

どうしたら。
どうしたら、章妃様は思いとどまってくださるのか・・・。

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作者名:飛燕 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年7月29日 10時

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