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36話 ページ36

「も、勿論(もちろん)です!喜んで!!」
「ありがとうございます。」

アグラが頭を下げたので、アランもちょこんと同じように頭を下げた。

「俺と息子のアランはアルガン島から来ました」
「アルガン島!!上質な砂糖が採れると名高い。巫女が治める神話の島」
「えへへー!ぼくのおうちでもつくってるよ!さとーきびがおっきくなったら、みんなでかるんだよ!そんでね、すいぎゅーですりつぶして、しるをにるんだ!」
左様(さよう)でございますな。」

話せば話すほど親しみを感じる親子だ。
けれど、同時に疑問が生じる。
煌帝国の方針(ほうしん)に反する発言をしても、何故この2人は許されている。

「おじちゃん、おそとのみんな、おなかへってるの?」
「さ、左様です」

ふぅーんと今まで座っていた席に目をやった。
テーブルの上には様々な種類の食事が並んでいる。

「じゃあ、ぼくのごはんあげる。ぼく、ちっちゃいから、ちょっとあればいいもん。」

卓上(たくじょう)に載っていた食べかけの粥を手に取ったアランは、はい!とバルカークに差し出した。

「こーきのかぁちゃんがつくってくれたんだ!すっごくおいしーよ!」

小さいお椀に、一口で食べ終わってしまいそうな量の粥。
それが可愛らしくて、(わん)を受け取ろうとした時、アグラがそれを制した。

「アラン。おじちゃんは物乞(ものご)いをしているわけじゃねぇんだ。戻してこい」

(わず)かな怒りを含んだ声に、ビクッとアランの体が飛び跳ねた。

「だ・・・、だって。おじちゃん、おなかへったって・・・。ぼく・・・、うぇ・・・。うぇええええ!うぁあああん!わぁああああああん!えぇええええん!あぁああああん!!」

「アラン様!泣かないでくださいませ。アグラ様、アラン様は良かれと思ってなさたことではないですか。そのようにお(しか)りになられなくても!」

割入った翠が泣きじゃくるアランを抱きしめるが、わんわん泣き続けて止まらない。

「アラン、それを置いてこい」
「ぅううう・・・ひっくひっく!」

しょぼしょぼベソをかきながら、卓に椀を置いたアランは、そのまま卓の下に(もぐ)り込んだ。
全員の足元で子供の泣き声が聞こえるという微妙な状況(じょうきょう)だ。

「息子が失礼な事をしました」
「あ、いや・・・」

思わぬ展開にバルカークも戸惑いしかない。

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作者名:飛燕 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年7月29日 10時

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