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34話 ページ34

「紅輝。おかわりはいかがですか?」
「はい、いただきます。母上も食べてください。以前にも増し食が細いと侍女達が心配しておりました」

元より、触れたら壊れてしまいそうな線の細い女性だったが、今は、見るからにやつれてしまっている。
何か悪い病でも呼んでしまわないかと、紅輝は心配で仕方がない。

「それにしても、ひでぇ話だなぁ。紅炎が死んだら再婚しろだと?そんなもんしなくていい。無しだ無し。」

(まゆ)をひそめながらガブッと魚にかぶりついたアグラは、しっしと手を振った。

煌帝国の衣装を着崩したアグラは、百戦錬磨(ひゃくせんれんま)の将軍といった雰囲気で、『背中で語る男』を地で行っているような雰囲気だ。

「さいこんってなぁあに?」
「別の男と結婚しろって事だ。嫌なのにな」
「したくないの?じゃあ、やんなんくていいよ」
「はい、アラン様。嬉しゅうございます」

だから、お前に何の決定権がある!と、眷族達は突っ込みたいが、章妃が嬉しそうなので言うに言えない。
そんなアランは、紅輝のお下がりを着ているので、皇太子の風貌(ふうぼう)だ。
表はシンプルだが、背中には章妃が自ら(ほどこ)した鳳凰(ほうおう)刺繍(ししゅう)がしてある。

「ご歓談(かんだん)中、失礼いたします」

紅輝の従者が、1人の男を連れて現れた。

先程、必死で紅輝を引き止めていた従者だ。名を李 秋明(しゅうめい)という。
年の頃は20代前半。
素朴(そぼく)すぎる青年は、美貌(びぼう)の紅輝と並ぶと月とスッポン。ダイヤモンドと砂利(じゃり)である。
戸の前で平伏(へいふく)する秋明より更に下。
大柄の人物が庭に平伏している。

「紅輝様、バルバッドの従者長を連れて参りました」
章妃が大振りの(おうぎ)で顔を隠したのを確認して、「面をあげよ」と命じた。

「従者長の名はなんという」
「バルカークと申します。」

頷いた紅輝は、地面に()したままのバルカークに聞こえやすいよう、少し声を張り上げた。

「バルカーク、そなたを呼んだのは配給についてだ」

直接紅輝に声をかけられて、バルカークは驚いた。
これまで、煌の貴人はバルカークのようなバルバッド人に自らの声で話しかけたりしなかった。

「紅輝様の問いにお答えせよ」
「は、はい」

秋明に促され、バルカークは姿勢を正した。

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作者名:飛燕 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年7月29日 10時

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