27話 ページ27
見知らぬ来訪者を迎えた紅輝は、紅炎の印を握りしめた。
あの男の言うとおりだ。
練 紅炎を失ったこの城は
このままでは・・・、本当に。
けれど。
ぎゅっと紅輝は唇を噛み締めた。
現在、この城の仮主は練 紅玉。
それが何を意味するのか、知らないわけがない。
紅玉にはシンドバッドのゼパルがいる。
彼女を通し、シンドバッドがこの城を支配しているといってもいいのだ。
こんな印１つで、どうやってそんな大物と戦えというのか。
けれど、疑問も生じる。
現在、シンドバッド王は白龍の後ろ盾と言える立場で動いているが、真の目的はなんだ？
彼は、商人としても名を
海洋国家であり、各国の貿易の要であるバルバッドの政を
嵐の前の静けさというやつか？
「紅輝様！大変です！！」
「どうした」
バタバタ慌ただしい足音をさせ、従者がその場に
「城下への配給が行き届かず、民が
な・・・！なんだと！？
民が税を国に
そのシステムが崩れれば、暴動が起こるのは当然。
一体、どういう事だ！
何が起こっている！！
「姫は？紅玉姫は何をしていらっしゃる！！」
「そ・・・、それが、お目通りもかなわず・・・。お願い申し上げます！どうか会議にお出ましくださいませ！このままではバルバッドが成り立ちません！！」
「すぐに資料を持て！」
はっ！と、従者が部屋を飛び出ようとした時だ。
紅輝の部屋付きをしていた従者が立ち
「お待ちください！紅輝様！紅輝様は幽閉の身。政には口出しできません！いえ！なさってはなりません！」
「今はそんな事を言っている場合ではない！」
「バルバッドを失ったとしても、それは白龍様の失策！幽閉中の紅輝さまに何の
部屋付きの従者は、床に頭が擦りつくほど深く、頭を下げた。
「あなた様に何かあれば、紅炎様になんと申し上げすれば良いやら・・・！お願いいたします！今は堪えて下さいませ！」
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