26話 ページ26
「母はこの世を
淡々と紡がれる言葉は、そのまま紅輝の
目の前で愛する人々が苦しんでいるというのに、無力な自分。
「為すべき事を思い出せ。お前は誰だ」
「私は・・・」
「ぼく、おさんぽしてくる！｣
全く空気を読まないアランは、
「あ、アラン！」
むやみに出歩いては危険だと、手を伸ばした次の瞬間、シャロットの姿も消えていたのだった。
「るんるん♪ふふぅ〜ん♪」
『ご機嫌だね。アラン』
「うん！ぼく、おさんぽだいすき！」
いつものようにチャムスとの会話を楽しみながら歩いていると、ふっとアランが立ち止まった。
『どうしたの？』
「へんなおときこえる」
周囲を見回すと、庭の
「ここなんだろー。」
よいしょっと、上にかかっていた
『アラン？どうしたの？』
「ここ、ちがうよ。いどじゃない。」
アランは360度を見通せ、風に落とも聞き逃さない。
そのアランが違うといえば、違う。
『いくの？』
「ぼーけんだぁあ！えいえいおーーー！！」
とぉ！と、元気よく井戸の中に飛び込んだアランが、ガッカリするほど底が浅かった。
「えーー〜。おしまい？つまんない！」
口を
井戸の底は当然、明かりが届かない。
通常ならば
『これは、隠し通路だね。きっと城の内部につながっているんじゃないかな』
「かくしつーろってなぁに？」
『いざって時、逃げるのに使う道だよ。』
「ふぅうん。あ。みち、わかれてる。うーーーんと、どっちにいこーかな〜。こっちぃ！」
いくつか分かれ道はあったが、アランはウキウキしながら思いつくままその終着点に着いた。
簡単な階段が備え付けられており、その上の板が抜けそうだ。
「どこにつながってるとおもう？」
『地下牢じゃない？』
「ろー？ろーってなに？？」
『だから〜』
よいしょっと力をいれると、ガタッと板が簡単に動いた。
そこから顔を出すと、5、6人の女性たちが驚いたように悲鳴を上げこちらを振り返ったのだ。
「あ・・・、アラン様！？」
「う？？」
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