14話 ページ14
じわっと浮かんできた涙を強引に
「りゅーせー」
「なんだ」
「ぼく、ばるばっどにいく。こーきにあう。」
「危険だ。許可できない。必要ならば俺が行く」
わかりやすく眉をひそめた流星と、ぷくっと頬を
「私が流星とバルバッドに行く」
「アンジェ！！」
「ちょっとだけど、私は章妃様の侍女をしていたもの。お着せもあるし！大丈夫。上手くやるわ」
おいおい。と言う空気が流れる中「えー。じゃあ、ぼくは、なにやんの？」という不満たっぷりのアランに、爆笑が上がったのだった。
〈 煌帝国領 無人島 〉
その入り口は表向き、紅明、紅覇の脱走を防ぐため、煌の兵士達によって厳重に監視されていた。
けれどその真意は、囚われの身となった紅明と紅覇の命を外敵から守るように、任務を言付かってのことだ。
人の良さげな門番が、暗くなった周囲に神経を張り巡らせる。
暗殺を考えれば夜が最も危険な時間帯だ。
誰も訪ねてくるはずが無い夜中だと言うのに、今日は様子がおかしい。
空気がざわついている。
「なっ！！」
一瞬のうちに
軽々と身を
「なぁあ」
兵士の前に、ちょこんと座り、つぶらな瞳を見せている。
「なんだよ、猫か。一体どこから」
「待て。この島に猫なんていたか？」
ハッと顔を上げると、布を頭からかぶり顔を隠した人物が姿を現したのだ。
「あの、バルバッドからの命令で紅明様の手当てに参りました。通していただけないでしょうか」
娘の声だった。
布の中から差し出してきたのは、刺繍された1枚のハンカチ。
「これは章妃様の
この娘を信じていいものか、兵士達に動揺が走る。
「あの、中身を確かめていただいても構いません。熱冷ましの薬草に、傷薬など、決して毒になるようなものはありません。信用いただけないなら、この場で薬を
荷物の中身を取り出そうとした娘に、兵士達は刀を突きつけるが、動揺した様子はない。
なかなか根性が座っているらしい。
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