13話 ページ13
「アランが紅さんを助けたいと思うように、私だって先生を助けたいの!わかるでしょ?ね?」
「だめなものはだめーーーー!」
「なんでよ!!アラン!」
アランはぷいっと顔を背け、両耳を
「アラン様。アンナ様は私がお守りします。」
「ハル・・・」
思わぬ助け舟だった。
「会いたい方がいるのならお会いになるべきです。いつ、会えなくなるかわからないのですから」
しばらく考え込んだアランが、どうする?と、言わんばかりにアイラの顔を見上げた。
「行かせておやり」
その一言で全てが決まった。
結局、アグラ一家では、アグラ、アイラの決定が最優先である。
アンナは早速、怪我に効く薬草を用意するべく、席を立った。
本当は。
本当は、アランはアンナに危険な場所に行って欲しくなかった。
自分を抱きしめて動かなくなった、あの姿が胸にこびりついている。
けれど、その思いを上手に言葉にできる語力をアランは持ち合わせていない。
ひたすら、「だめ」を言うことしかできないのだ。
ぎゅっとアイラの洋服を握ると、全てを理解しているかのようにアイラは微笑んだ。
「なぁ」
突然、聞き覚えのある鳴き声に、全員の視線がそちらを向いた。
記憶よりやせ細ってはいるが、紅炎の家で飼われていた紅明の猫だ。
軽々と庭から室内にジャンプすると、なんてことの無い顔で、アランの前に座った。
「なぁ」
(人2)が鳴くと、流星が眉をひそめた。
「自分のことも連れて行けと言っている」
アランの姿をしてはいるが、もう、流星がアランの姿をしているのだと知っている。
猫の言葉を通訳しても、もはや誰も突っ込まない。
「なんでぇ?」
「にー」
「家族だから。だと」
「じゃあ、いいよ。でも、いい子にするんだよ」
「おやおや。アンナが聞いたら怒り出しそうなくらい簡単に許すんだねぇ」
「かぞくは、いっしょがいいんだ」
そうだねぇ。と、撫でられて、アランはご
「どれ。(人2)の分もご飯も用意しようかね」
(人2)にアイラを取られてしまったアランは、すくっと立ち上がり、大事そうに置かれている
くりくりした青い目がこちらを見ていた。
「あおば。ぼく、がんばるね」
アオバの手を触ろうと、そぉおおっと手を近づけると、逆にぎゅっと握られた。
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