story14 ページ20
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月末にたっぷり情報解禁が迫る今日この頃。
毎日のコーヒーに飽きた私はお気に入りのメープルティーをごっそり持参し、今日も常にデスクの上でいい香りを漂わせる。
「あー、いーわーたー!まだかー!」
椅子の背もたれに大きく仰け反り膨れっ面の私をまゆは隣で笑って見てる
「まだ岩田さんから来ないの?相変わらず呑気だねー!」
「呑気というかルーズというか!岩田さんのせいで残業決定だよー!最悪ー!」
情報解禁に合わせて載せるメンバーのコメントを頼んでいたのに、期限までに送ってくれないのは岩田さんだけ。
忙しいのは分かるけど、こっちも忙しいんだけどなぁ。
なかなか送られてこないメッセージ、パソコンを見つめている間に無情にも定時を迎えた。
「まだ待つの?」
「うーん、今日中にはって言っといたからもうちょっと待ってみる!」
「あのさぁ………残業付き合いたいんだけど、これから約束してて……臣くんと」
「もぉ!気にしなくていいから、デート楽しんでおいで!」
「ほんとごめんね?」
「これからデートなのに、そんな申し訳なさそうな顔にさせちゃってこっちこそごめんね」
全部、岩田さんのせいだからね!
まだ付き合って1ヶ月にも満たないまゆと臣さんは時間があれば1時間でも一緒に過ごして、愛を育んでるみたい
う、羨ましいー!!
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事務室に残る社員もほとんど居なくなって、暗くなってきた外を頬杖をつきながらボーッと眺める
突然、背後からバタバタと足音が聞こえて扉に目をやると満開の笑顔の隆二くんが紙袋を振っていた。
「良かったー!Aちゃんまだ残ってた!さっきまで臣と居たんだけど、まゆちゃんも来て残業してるって聞いたから!これ、あげる!」
息を切らしながら私の左側の椅子にドスっと座って紙袋を差し出す
「あ、クローバーの!」
「撮影の差し入れなんだけどね!豆腐のきなこあったから持ってきちゃった!」
「ちょうどお腹すいてたのー!ありがとう!いただきます」
背もたれを前にして顎を乗せる隆二くんはニコニコしながら、ドーナツを頬張る私を見ていた。
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作者名:taka | 作成日時:2016年3月17日 18時