溢れる想いを言葉に乗せて。【ハイキュー短編集】

/雲に隠れていて気付きませんでした 岩泉一 ページ6

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私と岩泉くんしかいない教室に、私の嗚咽が響く。


振られた。2年間片思いを続けていた相手で、ちょっと脈アリなんじゃないかって勝手に期待して。



……バカみたいだな。


振られて泣いていたところ、いつも相談に乗ってくれた岩泉くんとばったり会って、慰めてもらっている。



「あんま泣くな」



そう言って岩泉くんは、私の目元を優しくなぞる。


子供をあやすように、頭をぽんぽんと撫でてくれる。


それでも止まらない涙を見てか、岩泉くんは苦笑した。



「今言うことじゃないだろうけどさ」



とっさに声を出すことが出来ず、泣きながら岩泉くんを見上げることしかできない。



「月が綺麗ですね」



頭が回転しない。岩泉くんが、私のことを、好き……？



「雲に隠れていて、気づきませんでした」



気付いたら口からこぼれ落ちていたのは、嗚咽混じりのこの言葉だった。



「大切な人だから、ちゃんと考えて返事したい。


少しだけ、時間を下さい」



「……いつまででも待ってるから」







雲に隠れていて気づきませんでした 貴方の気持ちに気づきませんでした

明日の月は綺麗でしょうね 国見英→←/月は、ずっと前から綺麗でしたよ 菅原孝支

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