＊ ページ24
呆然とへたりこんだ彼を見ず。男は立ち上がり、刀を手に取り。
敵に向かっていきました。無駄のない動き、煌めく刃。
何人もの敵に、走っていくのです。
...いや、それが普通でした。国を背負った隊員として、当たり前でした。
味方が死ぬのも、自分が死ぬのも、人を倒すことすらも。
彼は、小さく深呼吸しました。何故か先程より、震えがおさまってきます。
冷たい刀を両手に握りました。そして、女を見ました。
｢...ごめんなさい｡｣
あなたは、死ぬべきじゃなかった。
自分が、しっかりしていれば。
だから、せめて。もうあなたを救えないけど。
｢...っ戦い、ますから...！｣
最後まで。
彼は、男の背を追うように、駆け出しました。
敵が怖い？当たり前。
怪我が痛い？当たり前。
だけど、あの人が死ぬのは。当たり前にしたくなかったのです。
男の後ろから斬りかかろうとした敵に、彼は刃を落としました。
切り裂く感覚、吹き出す赤い液体に顔を歪めながら。
男は彼を見て、少しばかり目を見開きました。
...大嫌い、だけど。彼は、男に言いました。
｢自分が、あなたの背中を守ります｡｣
せめて、戦います。
自分の責務を全うします。
怖くて、今も膝が笑っているんですけど。
それが自分がやるべき当たり前ですから。
...それに。
あなたが大切にしていた彼には、
もう少し生きてもらわないと。
｢自分等では頼りないかもしれませんが、
守らせてください｡｣
もう、立ち止まりません。
彼は、敵を見据えました。
迷いなく、切り捨て。迷いなく、断ち切りました。
それはあくまで、
女の大切を守るためでした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 48人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
孤独な月 - 虎の月さん» ありがとうございます。少しでも、あなたの心に響いたのならば幸いです。暫く公開しますから、良ければまた来てください。 (2020年11月6日 9時) (
レス) id: 1bda2ccaaa (このIDを非表示/違反報告)
虎の月 - いやはや...こんな深いお話は始めて見ました...思わず涙が...とても心温まる作品を本当にありがとうございます。期間限定とは...惜しいものです... (2020年11月3日 15時) (レス) id: 23f1f79e2c (このIDを非表示/違反報告)
孤独な月 - fubukiさん» ありがとうございます。マジですか、嬉しいです、良かった。 (2020年10月26日 1時) (レス) id: 5a3c1aad01 (このIDを非表示/違反報告)
fubuki(プロフ) - あ………………好きです。 (2020年10月25日 21時) (レス) id: 8d00889b6b (このIDを非表示/違反報告)
孤独な月 - ビードロさん» 意味、分かりましたか？...うふふ。 (2020年10月23日 8時) (レス) id: 1bda2ccaaa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：孤独な月 | 作成日時：2020年10月15日 23時
