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STORY43 変わり果てた ページ46

本当はもう数年知るはずもなかった事実を兄上は教えてくれた。
兄上が部屋を出た後も、その事実がぐるぐる回る。


この家は辛いことばかりではなかった。
優しい世話役ウメさんに兄上と弟。
そして大好きな母上。
母上が生きていた頃は、父上だって優しかった。
目を瞑れば笑顔の父上なんてすぐ浮かぶのに。
実際に笑顔を見たのはいつだったか。
…もはや記憶はもうない。

母上が亡くなったばかりの頃は、塞ぎ込む私を心配して外へ連れ出してくれた。


______
___


「母上は星になった。もう近くにはいないが、ずっと見守ってくれている。…寂しがる必要はない。」

「ほんとう…? 母上、あのおほしさまかなぁ…。」

「どうだろうな、あっちかもしれない。私にはわからないが…母上は綺麗な人だったから、あの1番綺麗な星かもしれないな。」

「わあ…! きれい! 母上すっごくかがやいてるね!」

「ああ、そうだな。A、そうやって笑っていなさい。そうすれば___。」

___
______


父上とのやりとりを思い出す。
あのとき父上はなんて言ったっけ。
不器用だけど優しくて、私の頭を撫でる温かい手が大好きだった。
思えば兄上が撫でる手に似てたような気がする。

そんな父上が変わってしまったのは、母上が死んで数ヶ月経った頃のことだった。
私の顔を見ると苦い顔をするようになり、私が話すと早く会話を終わらそうとする。

…後に無反応になった。
私の心が折れるのは時間の問題だった。
もう話しかけようとはしなかった。

私が何をしても怒ったり笑ったりはしない。
期待もされないし、求められることもない。
父上の娘として、成田家の一人娘として、自尊心はとうにボロボロだった。

兄上や弟にはこれまで通り構い、厳しく律する父上に、なぜとも思わなくなった。
喚くことすら億劫になったのだ。
全く聞き入れようとしない父上に、喚いたところで時間の無駄だった。


それでも、独りじゃないから今まで心が壊れずにいられた。

剣は兄上の見様見真似をし練習を重ねた。
兄上はよく面倒を見てくれたし、弟はとても慕ってくれていた。
ウメさんも絶対に味方をしてくれた。
父は私を視界にすら入れなかったが、ソレはもう良かった。


18になって初めての春、江戸に発った。

父上にとって、私はどういう存在なのか。
なぜ変わってしまったのか。
私が成田家にいることに何の意味があるのか。

そんなことより世界___成田家の外に興味があったのだ。

STORY44 父上→←STORY42 知らされなかったこと



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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , 団子屋   
作品ジャンル:アニメ
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たいる(プロフ) - わかさん» こっちにもコメントくださってたんですね!笑ありがとうございます。笑っていただけて良かったです笑笑 (2021年7月11日 17時) (レス) id: 14bca84003 (このIDを非表示/違反報告)
わか - ミョウバンは笑った!!笑笑 (2021年7月7日 21時) (レス) id: 44294a6bf9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たいる | 作成日時:2021年1月8日 0時

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