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STORY38 デート(6) ページ41

ただ帰るだけでも、総悟君とは話が弾む。
もちろん何も話さなかったとしても、気まずくないほどに心を許しているんだけれど。

視界の先にいつもの団子屋が見える。
団子屋に近づくにつれて、総悟君との別れも近づく。


(…私、寂しいんだ。)


気づかれないように、ほんの少しだけ歩みを遅くした。
少しでも長くいられるように。


「送ってくれてありがとう。じゃあ…またね総悟君。」

「待ってAさん。」


家に着いたから帰ろうとすると、引きとめられる。
先程までとは打って変わって、私たちは静寂に包まれる。

不思議に思い総悟君を見やると、何かを袖口から出した。
四角くてリボンがついてて…プレゼント?


「これ、もらってくだせェ。」

「え…? そんな、もらうわけには。」

「Aさんのために買ったのに…?」


…やっぱり総悟君の意地悪な笑みには弱かった。


「…ありがたく頂きます。今開けても?」

「もちろんどうぞ。」


開けると、そこにあったのはさっきほんの少し目を奪われたネックレス。


「これ…。」

「さっき気に入ったように見えたから。…違いやした?」


小さな三日月のついたシルバーのネックレスだった。
三日月からぶらさがる赤い宝石は、控えめにキラキラと輝いている。

詳しくないから宝石の名前とか、本物かどうかなんてわからない。
多分ちらっと見た値段的には偽物だけど…。
でもそれより、総悟君の気持ちが嬉しくて嬉しくて仕方がない。

多分私の目、今すごく輝いてる。


「すごく、嬉しい。ありがとう。」

「喜んでもらえて良かったでさァ。」

「…この宝石、総悟君の瞳の色と同じだって思ったの。だから目を奪われて…。本当に嬉しい。総悟君だと思って大事にする。」

「え…と…そんな理由で見てたんで?」


しまった。
もしかしたら引かれてしまっただろうか。
総悟君の丸くした目が揺れる。
その目には戸惑いがうつっていた。


「ごめんなさい、気持ち悪かったわね。」

「違いやす! 気持ち悪いわけありやせん…ただその、俺も嬉しくて。ずっと一緒ですね、なんて。」


あー…意地悪な総悟君もずるいけど、はにかむ総悟君も同じくらいずるい。

俺がつけてもいい?と問う総悟君に頷き背を向けると、前に手を回してから後ろの留め具をつけてくれた。
一瞬だったけど、後ろから抱きしめられているような感覚に陥り、顔が熱くなる。
心なしかいい匂いもした。


この赤みはきっと、夕焼けのせいだ。

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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , 団子屋   
作品ジャンル:アニメ
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たいる(プロフ) - わかさん» こっちにもコメントくださってたんですね!笑ありがとうございます。笑っていただけて良かったです笑笑 (2021年7月11日 17時) (レス) id: 14bca84003 (このIDを非表示/違反報告)
わか - ミョウバンは笑った!!笑笑 (2021年7月7日 21時) (レス) id: 44294a6bf9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たいる | 作成日時:2021年1月8日 0時

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