STORY23 デート(2) ページ25
「はは、こんな風にAさんのこと知りたかったんでさァ。…ね、もっと教えて?」
自然と目が細まった彼の顔は、整っていて、優しくて。
まるで愛しいものを見るような目で見るから、勘違いしそうになる。
自分の整った顔をフル活用してる感じ。
それに彼は普段敬語なのに突然タメ口になることがある。
ずるい。
そんな彼に心臓がきゅっと締め付けられる。
可愛い可愛いって思ってたはずなのに、もう、かっこいい。
可愛くてかっこいいなんて完璧なんだろうか。
「っでも、教えてって言っても…何をしたら?」
「そうですね…まず、何が好きですかィ? 紅茶以外にもありやすか?」
「そうね…タルトとイチゴが好き…かな。ごめんなさい、子供っぽいかしら。」
「全然。タルトもイチゴも似合いやす。…あとは?」
子供っぽいと少し恥ずかしかったのに、総悟君にそう肯定してもらえただけで、恥ずかしさも消えてしまう。
「んーと…そうね。…昔母と食べた、素朴なおにぎりが好きだったわ。今はもう、居ないのだけれど。」
「そう、なんですね。おにぎり、いいですね。」
「ごめんなさい、少し暗い話をしたかしら。」
「いえ、そんな。」
楽しくしていたのに、答えにくいことを言ってしまった。
反省していると、総悟君からの爆弾発言が。
「すいやせん、ずっと言えなかったんですけど。実は俺の姉上も。」
「…え?」
「もう、いないんでさァ。…両親は小せー頃、知らねー間におっちんでた。姉上は、そんな親代わりだったんでさァ。」
「離れて、暮らしているんじゃ…。」
「まあ、離れてやすね。二度と会えねーくらい。」
「ご、ごめんなさい。私気がつかなくて…。」
どうしよう。
総悟君を知らない間に傷つけていたのかもしれない。
まさか総悟君のお姉さんが亡くなっていたなんて…。
「ふは、そんな顔しないでくだせェ。そんなつもりで言ったわけじゃありやせん。…今からAさんに根掘り葉掘り聞くんで、俺の最大の秘密を教えとこうと思って。」
悪戯な笑みを浮かべる彼に、つい顔を逸らす。
あまり見ていたらまた顔が熱くなってしまいそうで。
「…何が聞きたい? 最大の秘密を教えてくれた総悟君になら、何でも教えてあげる。」
…貴方が望むなら、家のことだろうと何だろうと、話してあげるよ。
辛いこと、話してくれてありがとう。
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たいる(プロフ) - わかさん» こっちにもコメントくださってたんですね!笑ありがとうございます。笑っていただけて良かったです笑笑 (2021年7月11日 17時) (レス) id: 14bca84003 (このIDを非表示/違反報告)
わか - ミョウバンは笑った!!笑笑 (2021年7月7日 21時) (レス) id: 44294a6bf9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たいる | 作成日時:2021年1月8日 0時