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第六話 住み込み組 ページ8

昼過ぎ辺りから始まった小型トリオン兵一斉駆除作戦は午後六時にようやく終わりを告げた。約六時

間もデスクに座りっぱなしでさすがに疲れた。パソコンをシャットダウンして照明を切ってから部屋

を出る。今日一番頑張ったであろう通信室の職員の方々にすれ違う度挨拶してボーダー内にある自分

の部屋へと向かった。

「あ、大石ちゃ〜ん!」

「国近さん」

「お疲れ様だね、お互い。」

「今さん」

「今日もめっちゃ頑張っとったな。」

「真織ちゃん」

住み込みオペレーター陣も丁度仕事を終えて部屋に戻って来たところのようだ。

「お三方もお疲れ様です。」

「これが仕事だからね〜。それでそれで大石ちゃん、聞いたよ? 今日の小型トリオン兵一斉駆除作戦は大石ちゃん大手柄だったらしいじゃん!」

「え? 私が?」

「そやで。途中ですれ違ごうたラボの人が言うてた。」

「トリオン兵の解析に一役買ったんでしょう? すごいじゃない!」

つくづく私の友達は全員いい子ばかりだ。こんなに認めてもらえるなんて嬉しいかぎり。

「ありがとう。ところで真織ちゃん、また教科書貸してくれない? できればノート見せて!」

「構わんで。ほなすぐに見る?」

「ぜひ!」

「勉強するなら一緒にいい? ちょっと柚宇の勉強見ないといけないから。」

「え、今ちゃん?」

「またこの前赤点ギリギリだったんでしょ⁉ 勉強しないと卒業できないわよ?」

「うう……」

国近さんの勉強嫌いは相変わらずのようだ。オペレーターとしては凄い人で私にはできないような作

業もできてしまうのだから本気を出せばどうにでもなりそうなものだが、そうはいかないらしい。

「じゃあ文房具持って真織ちゃんの部屋行くね。」

「私も柚宇と準備してくるわ。五分くらいでそっち行くから。」

「オッケー。」

こうして真織ちゃんは自分の部屋に、今さんに引きずられるようにして国近さんも真織ちゃんと同じ

方向へ。三人とは少し離れた場所にある自室に足を運ぶと手をかざして扉を開いた。

 特別な仕事をさせてもらってるとはいえ、他の住み込みの人と待遇は変わらない。簡素なシングル

ベッドと本棚に勉強机。高校に通ってない分浮いたお金でようやく買い足せた本で埋まった本棚は見

るたびに達成感を感じられる。この前手に入れたルーズリーフの束と筆記用具が一式入った筆箱を持

って準備は完了だ。ふとして目に入った窓の外の景色。警戒区域内にはほとんど灯りもなく、星が奇

麗だった。

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作成日時:2020年9月12日 13時

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