6 鬼灯 ページ6
「そうだだったんだ…この世があって良かったね二人共!」
「えぇ、こうして誰かに昔話を笑って話せるなんて思ってなかったわ」
「そうですね」
Aさんとの出会いや、私が鬼になった理由を「二人はどういう関係?」と質問したシロさんに話をしていると、Aさんは私を見てにっこりと微笑んだ。
「どうしました?」
「大きくなったわねと思って」
「会った時も言っていましたよ」
「えぇ、だってこんなにも小さかった丁ちゃんがあっ…今は鬼灯ちゃんね」
Aさんと再会したのは実はシロさん達を正社員にする少し前の事だ。
子供の頃より今の大人になった私の姿で会っている時間の方が長いというのに、たまに癖で昔の名前で私を呼ぶ。そしてシロさんを抱いて昔の私の背丈を例える。
「犬で例えないでください」
「鬼灯様にちゃんは似合わなくない?」
「そう?可愛いと思うけど…」
「男の大人にかわいさを求めないで下さい」
Aさんにとって私は今もこれからも丁ちゃんなのだろう。
鬼として再開した私達は別れてからの長い月日にお互い何があったのか詳しくは知らない。
Aさんはどうやって生きてきたのか、あの男とはどうなったのか…。
あの男との生活は幸せだったのか、何不自由なく幸せに暮らせたのだろうか。
Aさんは私が生贄の儀式で使われたことは知っていた。
死後Aさんが私を探しながら医学の勉強をしていた事や、鬼になった理由は再開するまでは知らなかった。
「じゃあ、私も皆みたいに鬼灯様って呼ぼうかな」
「…鬼灯で構いませんよ」
「何か付けたいわ」
「確かにAさんが誰かを呼び捨てなのは聞いて事ない!俺の事もシロちゃんだもんね!」
「可愛いモノにはちゃんと付けたくなるの」
じゃあ、今の私を可愛いと思っているのかと、どんな神経だと質問したかったが、この人にとっては私は子どもなのだろう。
「そうだ、鬼灯ちゃんも私の事Aサンって呼んでいるから、私も鬼灯さんにしようかな」
「ちゃんよりはしっくりくる!」
「ほんと?じゃあ鬼灯さんって呼ぼうかな、夫婦みたいね」
飲んでいた紅茶をつい吹き出してしまってシロさんを柴犬にしてしまった。
「っ…すみませんシロさん。Aさんがいきなり変な事言い出すので」
「俺も驚いた…」
「え??」
首を傾げるAさんにため息が出そうになる。
この人は昔と全く変わっていない…五道転輪王よりもしかしたらぽやんとしてるかもしれない。
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エリンギ(プロフ) - ★さん» コメントありがとうございます、正式に登録していないため、自動的に三ヶ月ほどで消されてしまうそうで、また貼らせていただきます (2019年8月31日 9時) (レス) id: e954f07389 (このIDを非表示/違反報告)
エリンギ(プロフ) - アヤトさん» コメントありがとうございます。正式に登録をしていないため、自動的に三ヶ月ほどで削除されるそうです。また、貼らせていただきます。 (2019年8月31日 9時) (レス) id: e954f07389 (このIDを非表示/違反報告)
アヤト - イラストとないですよ? どこにイラストがあるのですか? (2019年8月28日 0時) (レス) id: 43219d26b1 (このIDを非表示/違反報告)
★ - 何処にイラスト付いてんの???【イラスト付き】って書いてるのに付いて無いんだけど??? (2019年6月20日 17時) (レス) id: 9e5a3f5f29 (このIDを非表示/違反報告)
読みの民 - 多分なんですが、「一様」と書かれているところ、文脈的に「一応」ではないでしょうか?楽しく読ませていただいたのですが、気になってしまったもので^^; (2018年8月13日 16時) (レス) id: c65c9af674 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キノコ | 作成日時:2018年6月8日 22時