鬼灯様を鬼灯ちゃんと呼ぶ第二補佐官っ弌

３３　桃太郎ブラザーズ ページ33

二人のデートから三週間たった、俺達の予想通り二人はデートどころか会話している所も見かけない。

「これをお願いします」
「はい！」
「茄落とすなよ」
「分かってるよ」


っていうか…Aさんはいつも補佐官の鬼灯様のアシスタントをしているのに、最近は本業のお医者さんの仕事で忙しく、二人で一緒にいるどころか休憩時間や、昼休みまでずれていて…
毎日の休憩時間にお茶をしたり、お昼休みを一緒に食堂でご飯を食べている所すら見かけない。



「お盆があるからって安心してる場合じゃないっ！！」
「あぁ、思った以上に一緒にいないなっ」
「あの時のデートが嘘みたいだなぁ…」


ルリオと柿助と一緒に食堂で閻魔様とテレビを見ながら食事をしている鬼灯様を見てると、すごく心配していたのは俺たちだけじゃなかった。


「ねぇ、鬼灯君最近Aちゃんとはどう…？」
「どう。とは？」
「えっーと、ほ、ほら！前に…一緒に出かけたの…ど、どうだったのかなーって」
「別に普通ですよ。寿司を一緒食べただけです」


いつもと変わらない表情で鬼灯様は金魚フライ定食をモグモグと食べ、テレビにふと閻魔様と顔を向ける。


≪夏と言えば海に！お祭りに！花火だニャー！！≫
≪友達と行くのもいいですが、やっぱり恋人と行きたいですよね！≫
≪今日はまだ夏休みの予定が決まっていないカップルにおススメな―…≫


丁度テレビでマキミキがカップルで出かけるスポットや、観光地を紹介していてそれをじっと見つめる鬼灯様に閻魔様が話題を振る。


「ここ楽しそうだね、Aちゃんと行ってみたらどう？」
「Aさんは今の時期、ゆっくりと話すことすらできないぐらい忙しいですよ」
「そ、そんなにAちゃんい、今忙しいのっ…？」
「ここで働く獄卒鬼、不喜処の動物、その他の処で働く動物達、他の課の検診ですよ？」
「うん、健康診断で１０年ぐらいに一度でしょ？分けたら楽なんじゃ…」
「二百七十二の部署と沢山の課を１一人で健康診断に回るのにどれだけ大変か…１０年に一度の診察を処と部署ごとに１年に分けても一年の半分以上が忙しいんですよ」


地獄を管理している閻魔がそんなことも気づかないのかと呆れたため息を吐いて鋭い目で鬼灯様が睨む。


「疲れたとか、大変だとか言わない子だからつい…」
「仕事が好きだから本人は疲れに気づいていないだけで、体は疲れてますよ」

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