32 死 ページ32
あの人に殴られた手足がジンジンと痛む、目だけをたよりに真っ暗な森を走る。
本当にこっちの方面であっているのかな…
野獣に襲われるかもしれない…
足を怪我して動けなくなってしまうかもしれない…
見つかれば殺されてしまうかもしれない…
怖くて、バクバクと早く大きく動く心臓がとても苦しくて、それでも丁ちゃんが心配だった…
丁ちゃんにもう会えない方が、怖くて…辛いと…思って足が動いていた。
あの時は丁ちゃんの事しか考えられなくなってそれが…一番に思うと言う事なのか…
「Aさん」
「!!」
「どうしました?」
鬼灯ちゃんに名前を呼ばれて気づけば自分の部屋の前にいて、考え事をしていた私に鬼灯ちゃんは首を傾げる。
「では私はこれで…おやすみなさいAさん」
「お休み丁ちゃんあっ…ごめんね」
昔の事を考えてるといつも間違えて呼んでしまう。心配そうに私の顔を覗く鬼灯ちゃんに目を逸らす。
生贄にされていることを知っていたのに…あの時助けてあげられなかった…
あの時私は追手に見つかって、さらに真っ暗で足場の悪い山奥に逃げ込んで……足場を崩して崖に落ちて死んでしまった。
「ご、ごめん何でもない。お休み鬼灯さん」
「……はい、良い夢を」
鬼灯ちゃんはドアノブに光を灯してくれ、部屋に入る私を見て鬼灯ちゃんはさっと背を向けて、自分の部屋に繋がっている廊下を歩いて行ってしまう。
「私は何番目ですか」
という質問に私は答えだろうか、そんなことも忘れてしまうぐらい過去の事を考えていたのか…。
鬼火に取りつかれた私も鬼となり、丁ちゃんを探しながら現代や天国などで医学の事を学んだ。
今思えばずっと、今まで丁ちゃんを探してたんだ…いつも一番にずっと考えていただ。
医学の事を学ぼうと決心したのも、丁ちゃんを守りたかったから…
鬼になっても何前年もずっと諦めずに探してたのはきっと……私も………好きなんだ。
「ほぉっ…」
鬼灯ちゃんが一人で廊下を歩いてる姿に寂しく思ってしまうのも…
好きと言われるたびに顔が熱くなるのも…
嬉しいって思うのも…好きだからだ…
「丁ちゃんは私が守るよ」
でも…あの時助けられなかった。
それが私にとっては凄く大きくて…………
「呼びましたか?」
「ぅっ、うんうん……お休み」
「おやすみなさい」
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エリンギ(プロフ) - ★さん» コメントありがとうございます、正式に登録していないため、自動的に三ヶ月ほどで消されてしまうそうで、また貼らせていただきます (2019年8月31日 9時) (レス) id: e954f07389 (このIDを非表示/違反報告)
エリンギ(プロフ) - アヤトさん» コメントありがとうございます。正式に登録をしていないため、自動的に三ヶ月ほどで削除されるそうです。また、貼らせていただきます。 (2019年8月31日 9時) (レス) id: e954f07389 (このIDを非表示/違反報告)
アヤト - イラストとないですよ? どこにイラストがあるのですか? (2019年8月28日 0時) (レス) id: 43219d26b1 (このIDを非表示/違反報告)
★ - 何処にイラスト付いてんの???【イラスト付き】って書いてるのに付いて無いんだけど??? (2019年6月20日 17時) (レス) id: 9e5a3f5f29 (このIDを非表示/違反報告)
読みの民 - 多分なんですが、「一様」と書かれているところ、文脈的に「一応」ではないでしょうか?楽しく読ませていただいたのですが、気になってしまったもので^^; (2018年8月13日 16時) (レス) id: c65c9af674 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キノコ | 作成日時:2018年6月8日 22時