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家の裏に眠るAさんの両親に一緒に作物をお供えする。
「お父さんお母さん丁ちゃんを守って下さい」
ギュッとAさんは母からもらったと言う勾玉の首飾りを握りしめてそう言った。
Aさんは明日行ってしまう。この村からいなくなってしまうきっと…二度と会えないだろう。
「私がAさんの代わりに、手入れをしてお供えをします」
「ありがとう。もう寝ましょうか」
Aさんは、病で死んだ母さんの布団と、もう一つはAさんの布団をピッタリとくっ付けていつものように私はAさんの布団に、Aさんは母さんの布団で横になる。
「おやすみ丁ちゃん」
「おやすみなさい…Aさん」
今日は山奥まで山菜を取りに行って、沢山泣いてすごく疲れているのに…いつもならすぐに眠ってしまうのに…起きた時にはもうAさんはいないのではないか…怖くて寝れなかった。
「丁ちゃんが起きるまでどこにも行かないよ」
目を閉じていたAさんがゆっくりと目を開けて起きている私の手をギュッと掴んでそう言った。
「……Aさん…そっちに行ってもいいですか」
「おいで」
Aさんは笑って布団に入ってきた私の背中をポンポンと赤子でもあやすように優しく叩いてくれた。
「Aさん…」
「どうしたの」
優しい声、いつまでも聞いていたい声、出会った時もこの優しい声で私に話しかけてくれた。
あの時は体調を崩していつもより孤独と不安を抱きながら葉の布団を作って野宿している一人の額に優しく誰かの手が触れ、私をひょいッと抱きかか走り出す。
「大変…おいで」
「えっ―!?」
「これ七草粥風邪の時によく効くから食べて、その頬の傷はどうしたの?あとでその傷の手当を…アナタ名前は?」
「ゴホッゴホッ…丁です」
「丁ちゃんね」
「…あの…あなた一人ですか?」
「最近両親が病でね…だから好きに使っていいよ」
「えっ…」
「一人であんなところで寝るなんて怖いでしょ、私はA寝床や食べ物に困ったらいつでもいらっしゃい」
あの時どれだけ嬉しかった…幸せだった今までを思い出すと目の前が涙で見えなくなった。
「…Aさんに会えてよかった……」
「私も丁ちゃんと会えてよかったよ」
「っ…絶対…絶対私が起きるまでどこにも…行かないで…くださぃっ……」
「行かないよ」
あの時みたいに泣き出す私に少し困った顔をしながら頭を優しく撫でた。
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エリンギ(プロフ) - ★さん» コメントありがとうございます、正式に登録していないため、自動的に三ヶ月ほどで消されてしまうそうで、また貼らせていただきます (2019年8月31日 9時) (レス) id: e954f07389 (このIDを非表示/違反報告)
エリンギ(プロフ) - アヤトさん» コメントありがとうございます。正式に登録をしていないため、自動的に三ヶ月ほどで削除されるそうです。また、貼らせていただきます。 (2019年8月31日 9時) (レス) id: e954f07389 (このIDを非表示/違反報告)
アヤト - イラストとないですよ? どこにイラストがあるのですか? (2019年8月28日 0時) (レス) id: 43219d26b1 (このIDを非表示/違反報告)
★ - 何処にイラスト付いてんの???【イラスト付き】って書いてるのに付いて無いんだけど??? (2019年6月20日 17時) (レス) id: 9e5a3f5f29 (このIDを非表示/違反報告)
読みの民 - 多分なんですが、「一様」と書かれているところ、文脈的に「一応」ではないでしょうか?楽しく読ませていただいたのですが、気になってしまったもので^^; (2018年8月13日 16時) (レス) id: c65c9af674 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キノコ | 作成日時:2018年6月8日 22時