REBORN † 追憶乙女と贖罪男 (ページ11)

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こうして、私とランチアの旅は始まった。

ランチアは優しい。

だから、何処に行っても、人助けをする。

今日も、また。

「お願いがあるの」

やって来たのは、一人の女性。

私よりも高い身長で、うらやましい。

「これを……隣町まで届けてください」

そう言って、差し出されたのは、一枚の封筒。

この女性は、町から出ようとした私達を引き留め、何処にいくのかと尋ねた。

隣町だと、ランチアが答えると、嬉しそうに微笑み、今に至るわけなのだが。

隣町までは、そんな距離があるわけでもない。

なら、何故、わざわざ？

「ハクトという男よ。隣町は、小さいから、すぐ見付かると思います……どうか、お願いします」

「……分かった」

ランチアは、それを嫌な顔をせず、受けとる。

あぁ、もう。

毒でも塗ってあったら、どうするつもりなのかしら。

女性から、手紙を受け取り、私達は、町から出た。

†

隣町へと続く一本道を、共に歩く。

「……なぁ」

「なに？」

珍しく、ランチアから話しかけられた。

彼は、女性の手紙を見つめながら、言う。

「隣町くらいなら……いつでも行けるだろうに。何故、手紙を書いたんだと思う？」

「……さぁ」

そんなこと、聞かれても、わかるはずないじゃない。

「知りたいの？」

「……気になっただけだ」

「まぁ、私もなんだけどね」

そう言いながら、私は、ランチアの服の裾を引き、

「ちょっと、手紙貸して？」

お願いした。

ランチアは、一つ頷き、私に手紙を差し出す。

それを受けとりながら、私は手紙に触れた。

もちろん、左手で。

「……見えるのか？」

「あの人の過去はみえないけど……手紙のなら、いける」

物の過去を見るのは、大変だ。

感情がないから、過去の思い出が、いうなれば、平ら。

人間みたいに、思い入れがあればいいのに。

そしたら、そこがまず見える……一番、その人を作り上げた思い出が、さ。