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知らない、見たこともない場所。
この広い本部内で辿り着ける人はいるのか、それぐらい無機質に息を殺してる場所。
俺は先輩の後ろを着いて行っただけ。
けれどもその先輩が辿り着けたってことは、きっと、そういうこと。
「…え、ここって」
目の前に立ち塞がる古びたドア。
この本部内では珍しい、ちゃんとしたドアノブ、というものが付いている。
それに、
「第…料? なんやこれ」
恐らくこの部屋が何であるのか示しているプレートでさえも黒い文字が消えかかっている。
「水上先輩、これって
「第三資料室」
…ほう」
らしいです、今まで訪れた方たち。
と言ってもまあ、こんな誰も通らない様な薄暗い廊下の片隅に存在する部屋なんて先輩以外見つけることも出来ないだろうけど。
「…って、え、入るんですか」
鍵はかかっていなかったものの、建て付けが悪いのかガチャガチャと数回ドアノブを回してから開けた先輩に思わず手が伸びる。
「そりゃ入るやろ、その為に連れてきてんし」
「あ、いやそうやなくて…」
入ってもええんかなあ、って。
開いた扉の隙間をちらりと見ながらそう呟いた。
資料室ってことは、周りがよく報告書での調べ物やらで利用するあの第一、第二の資料室と何ら変わりないはず。
けどなんというか、やっぱり少し雰囲気が違うというか…いや、それ以前に怖い。先輩が見つけた場所だから、怖い。
「面倒臭い上に買い被りすぎやで、お前」
「褒めたつもりはないんですけど…」
「けどそういうことやろ、」
俺が見つけた場所やから、きっと…ってな。
そう言って、じとっとその全てを見透かしたような目で俺を見下ろす先輩に、恐怖を通り越して笑いが込み上げてくる。
「自意識過剰」
「何とでも言えー」
同じ様に笑い返してきた先輩が中途半端に開いていた目の前の扉をガン、と一蹴り。
「まあ、ここは入ってもええから」
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中村です。(プロフ) - ダニエルさん» わ~!いつも嬉しいお言葉ありがとうございます😭どうしても今年入ってから書ける時間と体力が少なくなってしまい、罪悪感増し増しで今回の更新に至ったのですが…嬉しいです🥂 𓈒𓂂𓏸これからも応援よろしくお願いします🤍 (2022年9月24日 1時) (レス) id: cfe5b5c1c8 (このIDを非表示/違反報告)
ダニエル(プロフ) - 何度もコメント失礼します🙇🏻♀️もう貴方様の書く小説が大好きです。今回の更新もお忙しい中ありがとうございます。中村さんが生きてるだけで乾杯です🥂どうかお身体にお気をつけて更新頑張ってください!応援してます🤍 (2022年9月20日 0時) (レス) id: 87c84fa022 (このIDを非表示/違反報告)
中村です。(プロフ) - 璃々さん» 初コメありがとうございます!なんとそんな…!😳寧ろここまで喜ばせてくれる素敵な言葉選びはどこから…とお聞きしたいぐらい嬉しいです~😭✨ありがとうございます…!今後もちまちま更新になるかと思いますが応援してくださると嬉しいです🕊 (2022年8月12日 23時) (レス) id: cfe5b5c1c8 (このIDを非表示/違反報告)
璃々(プロフ) - 初コメ失礼します。個人的にどろどろとした関係?恋愛?が好きなのでこの作品大好きです。原作からここまで凝ったのを作れる文才はどこからですか?ほんとに面白すぎます。しかもどんどん新しい情報が…続き楽しみに待ってます!頑張ってください🔥 (2022年8月12日 12時) (レス) @page35 id: e950c5fcca (このIDを非表示/違反報告)
中村です。(プロフ) - あずずさん» いえいえいえ!!!!!!!何度でもどんなことでもコメント頂けるのは本当に嬉しいですし、とても励みになります😭また宜しければ何時でもコメントしてください、というのはちょっと傲慢かもしれないですけど、今後も応援してくださると幸いです☺️ (2022年5月8日 19時) (レス) id: cfe5b5c1c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村です。 | 作成日時:2021年11月10日 14時