272 ページ22
その一言でスッ、と細くなった目に思わず肩が跳ね上がる。
「えっとお……俺は別にそんな…
「そもそもこんなでかい組織におって、今時こういう重要なデータを紙に残す方がおかしい」
ああ、はい…ごもっともです」
言ってることが正しいと言えば正しい上に、先輩という絶対的な存在に俺は固く目を瞑ることしか出来なかった、無念。
「こんなん如何にも盗ってください言うとるようなもんやろ」
「いやいや、それで本当に盗る人滅多におらんと思いますよ…」
「やから管理が杜撰になる、って典型的やな」
…ほんまはもっと小さい業務ですら、アナログにせん方がええやろうに。
そう最後にボソリと呟かれた言葉は、たった今結ばれた俺と先輩だけの秘密事の如く重く、一瞬でこぼれ落ちていった。
「あ、あの…」
「まあそれを抜きにしても大丈夫や」
その自信は一体どこから。
そう言う前に、思う前には既に俺は欲しい言葉を貰っていた。
「お前はもうなれとるから」
何に、とは聞くなや。
先輩はそう言って、その言葉から逃げるようにひらりと片手を振って光のある方へと足を進めて行った。
「(あー…)」
その時に見えた赤。手の甲、猫の引っ掻き傷の様な。
何処の猫が、どの瞬間にやったのか、なんて案外簡単に想像できた。
「…俺、上手くやれそうやわあ」
初めて自分の手元からパチン、という音が聞こえた。
306人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ワールドトリガー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
中村です。(プロフ) - ダニエルさん» わ~!いつも嬉しいお言葉ありがとうございます😭どうしても今年入ってから書ける時間と体力が少なくなってしまい、罪悪感増し増しで今回の更新に至ったのですが…嬉しいです🥂 𓈒𓂂𓏸これからも応援よろしくお願いします🤍 (2022年9月24日 1時) (レス) id: cfe5b5c1c8 (このIDを非表示/違反報告)
ダニエル(プロフ) - 何度もコメント失礼します🙇🏻♀️もう貴方様の書く小説が大好きです。今回の更新もお忙しい中ありがとうございます。中村さんが生きてるだけで乾杯です🥂どうかお身体にお気をつけて更新頑張ってください!応援してます🤍 (2022年9月20日 0時) (レス) id: 87c84fa022 (このIDを非表示/違反報告)
中村です。(プロフ) - 璃々さん» 初コメありがとうございます!なんとそんな…!😳寧ろここまで喜ばせてくれる素敵な言葉選びはどこから…とお聞きしたいぐらい嬉しいです~😭✨ありがとうございます…!今後もちまちま更新になるかと思いますが応援してくださると嬉しいです🕊 (2022年8月12日 23時) (レス) id: cfe5b5c1c8 (このIDを非表示/違反報告)
璃々(プロフ) - 初コメ失礼します。個人的にどろどろとした関係?恋愛?が好きなのでこの作品大好きです。原作からここまで凝ったのを作れる文才はどこからですか?ほんとに面白すぎます。しかもどんどん新しい情報が…続き楽しみに待ってます!頑張ってください🔥 (2022年8月12日 12時) (レス) @page35 id: e950c5fcca (このIDを非表示/違反報告)
中村です。(プロフ) - あずずさん» いえいえいえ!!!!!!!何度でもどんなことでもコメント頂けるのは本当に嬉しいですし、とても励みになります😭また宜しければ何時でもコメントしてください、というのはちょっと傲慢かもしれないですけど、今後も応援してくださると幸いです☺️ (2022年5月8日 19時) (レス) id: cfe5b5c1c8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:中村です。 | 作成日時:2021年11月10日 14時