来馬先輩の妹に恋する皆様方のお話 6 【WT】

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「あ、良かったスマホ生き


「Aさん…！」


あ、え、三輪くん？」



奈良坂くんの言われた通り、さっき珈琲まみれになった端末がきちんと起動するかどうか触っていたところ、大きな足音と共に私の元に影が落とされた。





「えっと…どうしたの？」





何かあったんだな、というのだけは分かった。



私は全く向こうの方を見ていなかったから分からないけど、足音からして走って来た感じではないし、そもそも走る距離でもない。


なのに、こうやって血相を変えて呼吸が早くなっている三輪くんの姿があるってことは、って。






「…シフト、手伝ってくれるって」


「ああ、うん。そうだけど…」






それがどうしたんだろう、


そう思って見上げていた状態から小首を傾げて様子を伺うけど、それ以上の言葉が出されそうにないので余計傾ける。




「えっと…？」


「…いえ、すみません。ありがとうございます」





そう言ってまたドアの方、あの二人のいる方へと三輪くんは戻って行く。



結局傾けた顔が戻ることはなかった。


それは私だけじゃなくて今一緒にお話していた奈良坂くんや古寺くんも同じで、少し様子がおかしい三輪くんを‎終始見上げていた。







「よく分からなかったんですけど、とりあえずAさんはまだここにいるってことで…？」


「うん、多分…」




三輪くんが離れた後にパッと私の方へ顔を向け、そう尋ねてきた奈良坂くんに曖昧な返事を返す。





「それなら淹れ直してきますね」





今のはもしかして三輪くんなりの許可？の仕方なのかな。


実際に手伝う約束したのは米屋くんとだったし…



え、そしたらあの歪めてた顔って私が介入するの嫌だったってこと…？






「私やっぱり帰った方がいいのかな…」





そうぽつりと呟いた時だった。






「駄目じゃん、Aさん」

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