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蘭丸「A!!!」
まずい。とっさに受け身が取れなかった。蘭丸さまが敵の刃を受け止めつつおれの名前を呼んでいる。
早く蘭丸さまのところに行かなきゃ。蘭丸さまとゆきちゃんと一緒に、殿をお守りしなきゃ。
そう思って立ち上がろうとすると、誰かに腕を引かれ、無理矢理立たされた。
『っなに、』
そのまま、おれは俵を運ぶときのように担がれた。力強い腕でがっちりと腰を固定され、動こうにも動けない。
『いや、やだ、離してっ』
武士「うるさいぞ、大人しくしろ!!」
『あ゙ッ、……』
いやだいやだと身を捩ると、力任せに両足の骨を折られた。
だめだ、抜け出せない。蘭丸さまのところに、殿のところに行かなきゃいけないのに。
蘭丸「A、ッA!!!」
蘭丸さまが、必死におれの名前を呼んでる。今すぐにでも駆け寄りたいのに、おれを担いでいる武士と折れた両足がそれを許さない。
『やだ、やだぁ!!蘭丸さまぁ、ゆきちゃん…!!』
どうすることもできないまま、おれはただ崩れていく寺を見ていた。
おれは悔しさと痛みで情けなく泣きながら、偉い人が乗るような籠に放り込まれてそのままどこかへと運ばれた。
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