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『薬研…』



薬研「そんなに擦ったら赤くなるぜ」



おれの腕を掴んだのは薬研だった。



薬研「…また泣いてんのか」



『うん、女々しいよね』



薬研「……俺はそうは思わねぇけど」



そのままおれの隣に腰を下ろす。



薬研は優しい。おれがこうして泣いていると、必ず隣にいてくれる。



『薬研……もう、だめなのかな、』



薬研「…大丈夫だ」



薬研はおれの頭を自分の肩にもたれかからせて、優しく撫でてくれる。



ゆきちゃんにもいつかこうやって、と馬鹿な想像をしてまた涙が溢れた。





薬研藤四郎 side



かつて不動と恋仲だったAは、不動に冷たく接されてひどく落ち込んでいる。



そりゃそうだ。久しぶりに会えた恋人に、急に突き放されるんだからそうなるよな。



Aはその大きな目からぼろぼろと涙を流している。



俺はその頭を自分の肩に寄せてゆっくり撫でる。



…不動のやつ、どうしてあんなにひねくれてるかねぇ。



俺なら、お前にそんな顔させねぇのに。



一途に不動を想うこいつに、そんなことを言う勇気は俺にはなかった。

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作者名:たまみさん | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年10月2日 23時

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