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四拾四 ページ45

10時丁度に待ち合せ場所に行くと、私と高杉が楽しそうに話していた。


永野か。


それにしても随分と楽しそうに話している。


このままでもいいんじゃないだろうか。


私が帰ればそれで全ては丸く収まるだろう。


踵を返すと思い出す冷蔵庫に眠るケーキ。


手に持った高杉に渡そうと作ったマフラー。


全部、無駄にする気?


自分で自分に問う。


寝不足になってまで編んだマフラーを渡すべき相手に渡さずに終わらせていいのか。


いつも以上にデザインに凝って、奴の事を気遣いながら作ったケーキを奴に食べさせずに終わらせるのか。


何で私が態々大ッ嫌いなアイツの為に時間を費やさなければいけない。


ケーキも一人で食べて、マフラーも自分で使えばいいだろう。


悪魔と天使の声の様に私の中で意見が対立する。


待ち合せ時間を3分過ぎた。


振り返れば楽しそうな二人。


どうすればいいのだ、私は。


もう、自分が高杉をどう思っているのかさえ解らなくなってきた。


A「本当にムカつく。」


私は二人の居る方へ歩き出す。





A「何してるんですか。永野。」


彼女が私を見る。


トモ「何言っているんですか、貴女は。」


口調までコピーしてきたか。


声も若干私と似ている気がするし。


この人はどこまで私に成り切る気だ。


A「その松葉杖、私は昨日取れたので成りきるには必要ない小道具ですよ。」


それにしても高杉と永野の距離が異様に近い。


トモ「そんな事言って、本当は小道具を準備できなかった永野の苦し紛れの言い訳ですか。」


ぎゅっと高杉の腕を掴む永野。


黙ってそれを許す高杉。


なんで、ソイツに触れられているのを許しているのだ。


私は他の人に触れられているのも嫌だったのに。


って、これでは高杉に触れられてもいいみたいではないか。


トモ「見苦しいですね、いい加減諦めたらどうですか。晋助は私が好きなんですよ。」


まぁよくも図々しく言えたものだ。


晋助「あぁ、見苦しいな。」


いきなり、高杉が口を開いた。


この人、結局は私と永野の見分けなんて付かなかったのだ。


私と永野は違うと言って置きながら。


なんだか悔しくなって歯を噛み締めた。


晋助「中途半端にAの真似なんかしやがって、恥を知れ。」


そう言って高杉は私の肩を抱き寄せた。

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隣の眠井 - 密かに応援してました。とっても面白かったです。次章も頑張ってください! (2015年12月25日 14時) (レス) id: bd239fc3db (このIDを非表示/違反報告)
ぬえ - 続きが楽しみです! 頑張ってください!! (2015年12月6日 22時) (レス) id: 29ee31762a (このIDを非表示/違反報告)
こまり君(プロフ) - すごく面白いです!!更新楽しみにしています! (2015年11月29日 23時) (レス) id: d147eb461a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:高杉基 | 作成日時:2015年10月18日 3時

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