参拾九 ページ40
トモ「この世界は残酷ね。」
永野は意味深にそして、悪意を込めて言う。
こんなの私の友達だった、守りたいと思った人じゃない。
トモ「私は落とされてもそれでも想い続ける程、高杉様が好きなのに。」
元々、こんな直球で気持ちを伝えられる娘じゃなかった。
永野が高杉に近付く。
トモ「見てください、高杉様。貴方の為にこんなに変わったんですよ。私。」
永野智幸は変わった。
それは中身だけじゃない。
整形したのだ、彼女は。
トモ「貴方の為に私は東堂Aと同じ顔にしたんですよ。」
最後に会った時。
私の前に現れたのはよく私に似た彼女だった。
そんな事をしてまで高杉に振り向いて欲しいなんて私には理解できない。
晋助「同じだぁ？全然違うぜ。」
冷めた口調で彼は言う。
晋助「どんなに外見をAに似せた所でテメェには俺の求めているものはねぇよ。」
その話し方は暴君高杉晋助と同じ。
いや、それよりも怒りを露わにしている。
晋助「Aとお前を一緒にするな。」
高杉はそう言うと自分の席に座った。
◎
A「なんで、買い物まで付いて来るんですか。」
松葉杖で街を歩くだけでも目立つのに。
高杉なんかと歩けば余計に目立つ。
晋助「何を買うんだか知らねぇが、そんな状態で荷物なんか運べねぇだろ。」
仰る通り。
だが、コイツに頼るならやっぱり少々イタイ出費になるがタクシーを使う方がマシだ。
晋助「いいから、甘えとけ。」
本当に強引だな、この人は。
「クリスマスケーキ、予約受付中でーす。」
クリスマスね。
また今年も一人でケーキを食べる事になるのかと思うと少し虚しい気もする。
晋助「クリスマス、お前はどうするんだ。」
どうするんだとはどういう事だ。
晋助「予定とかあるのかって事だ。」
予定なんかあればこんな風に買い物なんかきていない。
A「そんなものあったら今日だって買い物なんかしてませんよ。」
私が今日、買いにきたもの。
クリスマスケーキの材料だ。
イチゴやホイップ等はクリスマス前日になると高くなる店が多い。
晋助「なら、そのまま空けておけ。」
今度は何だ。
クリスマスデートでもする気か。
A「何でですか。」
また、高杉は真剣な目で私に言う。
晋助「俺にチャンスをくれ。」
は？
何のチャンスだ。
晋助「イヴだけでいい。俺を男として見てくれ。」
どうせ暇だと、私は軽い気持ちで頷いた。
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隣の眠井 - 密かに応援してました。とっても面白かったです。次章も頑張ってください！ (2015年12月25日 14時) (
レス) id: bd239fc3db (このIDを非表示/違反報告)
ぬえ - 続きが楽しみです！ 頑張ってください！！ (2015年12月6日 22時) (レス) id: 29ee31762a (このIDを非表示/違反報告)
こまり君(プロフ) - すごく面白いです!!更新楽しみにしています！ (2015年11月29日 23時) (レス) id: d147eb461a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：高杉基 | 作成日時：2015年10月18日 3時
