230.いいと思う ページ35
生徒が全く立ち入ら無さそうな先生達だけの休憩場みたいなところで待ってると、トト子先生が温かい紅茶のペットボトルを持って「お待たせ」と言いに来る。
「あ、お金はらいます」と言うと「いいの」とそっと手を添えられて奢ってもらった。
「…どうしたんですか、先生。」
「ん?私が最後に話したくて。」
「…そうですか、」
近くの岩場に座り込んでペットボトルを開けるとまだまだ紅茶は熱かった。
「あと1年で卒業だね。Aちゃんも」
「そうですね、あんまり実感無いですけど…」
「あはは、そんなのすぐ過ぎちゃうけどね!」
トト子先生は明るく笑うと「私も早く先生になりたいな」と呟く。
先生になるのも狭き門だって聞く。
なれる人達は相当すごい人なんだな。
「進路決めた?」
「っえ、」
「紙、さっき出てたよね。」
トト子先生の言葉に私はピクッと指が動く。
唐突に聞いてくるなんて先生よく見てる。
結局担任の先生見つからなくて後日になったけど。
よーくよーく考えて私のなりたいものってなんだろうって、ずっと悩んでた。
なりたい自分に向かって今何を思ってるのか考えた。
色んな職業あるからやりがいはあるだろうけど。
「…私も、先生になりたいです。」
「………そう、」
喉がつまる思いで口に出すと、トト子先生は一言頷いて「いいと思う」と言ってくれた。
単なる憧れじゃなくて、教えるのも好きだし。
「勉強、沢山しないといけないね。」
「……そうですね。」
トト子先生が受け止めてくれて良かった。
何となくモヤモヤしたまま言ったから否定されるんじゃないかと思ってたけど。
「てか、それ一松くんに言った?」
「え、いちまつく…、え?」
「あ、ごめん、一松先生か!!」
「…………、、」
トト子先生は立ち上がると「うんうん」と頷いて急に一松先生の話題を振ってきた。
というか一松くん、ってさっき言ったのがやけに胸に刺さって複雑な気持ちになる。
やっぱり付き合ってる?
だから素で今呼んだ?
最後だし、
こんなこと聞いてもきっと嫌われてもいい。
「あの……、」
「なに?」
「トト子先生って……い、一松先生と、、
……付き合ってます?」
「え?」
付き合うって言葉だけでなんか小っ恥ずかしくなる私は顔真っ赤にしてそう言った。
トト子先生はポカンとすると「そんな訳ないじゃん!」と大笑いする。
…よかった。
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永松(プロフ) - ぐはっしぬ一松イケメンすぎるしトト子ちゃん可愛いしもうやばいこんな作品作ってくれてありがとうございます! (2022年11月16日 21時) (レス) @page50 id: a7a9653a86 (このIDを非表示/違反報告)
も - パスワード教えていただきたいです! (2021年10月4日 17時) (レス) id: d81adfc2e6 (このIDを非表示/違反報告)
松野クロ松 - あー…一松先生のこと好きな人が増えなくてよかったけど…いやいやいや!!言い方ひどくない!?別に人の気持ちを踏みにじるつもりないから!! (2021年9月22日 18時) (レス) @page45 id: 298605cae4 (このIDを非表示/違反報告)
松野クロ松 - ……嫌な予感するぞこれ……まさか後輩も先生のことが好きとか……まさかーそんなことないよねー……ほんとにそんなことあったらショックだわ…私転校するからいとこともみれなくなるんだよなー…まぁ悲しんでる暇なんてないけどね!!ww………続き気になる…www (2021年9月16日 22時) (レス) id: 298605cae4 (このIDを非表示/違反報告)
ずんぐり(プロフ) - 松野クロ松さん» コメントたくさんありがとうございます!いつもたくさんコメント頂けて私も嬉しいです!これからも頑張っていきます!(*^^*) (2021年9月11日 21時) (レス) id: c79d92d7a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ずんずんずっくり | 作成日時:2021年3月23日 14時