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ドアのロックは掛かったまま。
何を血迷ったのか、
カラ松先生は私の方へ顔を近づける。
「オレがその気になったら長嶋さんは、
なってくれるのか?」
いつしか、そんなことも言われた。
・
「あっ、」
「あ」
プルルルと携帯の音がけたたましく鳴る。
カラ松先生は私から離れてポケットから携帯を取り出すと「すまん」と言う。
車の正面窓に手をかけて近づいたカラ松先生は、少し動揺した顔を見せて電話に出る。
完全に何も考えてなかった私はただただカラ松先生を見上げてなにも分からない。
「なんだチョロ松かよ」と残念そうな顔をして電話するカラ松先生を見て、なんだか無駄にソワソワする。
少しだけなんだか距離が近かったようで、自分の心の整理がついてなかった。
「もしもし。…今?今どこにって…駅だ。
いや、……1人だ。」
「……?」
「ちょっと駅に用事あって」
電話を聞くと、カラ松先生は「1人だ」と答える。
1人?私横にいますけど。
まぁ、生徒横に乗せてるのもおかしいか。
リュックをぎゅっと握ってこの時間がなんだかとってもソワソワしてならない。
携帯を切り終えるとカラ松先生は「チョロ松が早く帰ってこいだってさ」と笑う。
「…その、」
「はい、」
「さっきのは、…手違いだから、ごめん。」
「え?」
そして、顔が変わったかと思えばしっかりカラ松先生はさっきのことを話す。
ここまで正直に言われると、好意があからさまに示されている感じがして、納得するのにも妙な小っ恥ずかしさがある。
「…どうしてもたまに…可能性があるならって。」
更に口を開こうとするカラ松先生は何度も渋るとやっと出したかのように顔を真っ赤にして喋り出す。
「長嶋さんが、18じゃないなら…」
「…………、、!」
可能性。
近づきたい?
全部、私が一松先生に感じてることと一緒で、
それは思っても口にも行動にも出してはいけない。
カラ松先生は、「やっぱなんでもない、忘れて欲しい」と言う。
そんなこと言われて忘れれるなら、
とっくに忘れてる。
今度はドアのロックをちゃんと開けて、カラ松先生は「また学校で」と言う。
「………あの、あ、ありがとうございました!」
その想いにも応えられる自信が無い私は、
ただただ惑って慌ててドアを開けて飛び出した。
*
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永松(プロフ) - ぐはっしぬ一松イケメンすぎるしトト子ちゃん可愛いしもうやばいこんな作品作ってくれてありがとうございます! (2022年11月16日 21時) (レス) @page50 id: a7a9653a86 (このIDを非表示/違反報告)
も - パスワード教えていただきたいです! (2021年10月4日 17時) (レス) id: d81adfc2e6 (このIDを非表示/違反報告)
松野クロ松 - あー…一松先生のこと好きな人が増えなくてよかったけど…いやいやいや!!言い方ひどくない!?別に人の気持ちを踏みにじるつもりないから!! (2021年9月22日 18時) (レス) @page45 id: 298605cae4 (このIDを非表示/違反報告)
松野クロ松 - ……嫌な予感するぞこれ……まさか後輩も先生のことが好きとか……まさかーそんなことないよねー……ほんとにそんなことあったらショックだわ…私転校するからいとこともみれなくなるんだよなー…まぁ悲しんでる暇なんてないけどね!!ww………続き気になる…www (2021年9月16日 22時) (レス) id: 298605cae4 (このIDを非表示/違反報告)
ずんぐり(プロフ) - 松野クロ松さん» コメントたくさんありがとうございます!いつもたくさんコメント頂けて私も嬉しいです!これからも頑張っていきます!(*^^*) (2021年9月11日 21時) (レス) id: c79d92d7a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ずんずんずっくり | 作成日時:2021年3月23日 14時