225.悪い癖 ページ30
元々一松先生には、お世話になりっぱなしだったし、これ以上話したり関わってもきっと先生が嫌な思いするだけかなって分かってた。
でも、やっぱり先生は大人だから振り向かない。
どれだけ優しくしてくれても、きっとそれは先生としてだから。
求めたところで来るはずない。
「…はぁ、寒い。」
逃げるように学校から出てくると、すっかり空は真っ暗で夜になっている。
冬は日が落ちるのも早くて、それだけでもなんだか切なくなるのに。肌寒いというか、もう痛いくらいの寒さは肌を切るようだ。
「落ちたぞ。」
「え、」
少し後ろから小走りで来た人がマフラーを拾ってくれる。「ありがとうございます」と言って貰おうとするとふわっと何故かマフラーを巻かれる。
見上げると「久しぶり」と言って聞き馴染みのある声がする。暗くてよく分からなかったけど、目が慣れてきてカラ松先生だということに気づく。
このタイミングで、カラ松先生は気まずいなぁ…なんて思いながら先生にマフラー巻かれるなんて、なんか微妙な気持ちになる。
「…先生マフラー巻くの下手です。」
「え？」
「……顔に巻き付けたら見えないです。」
「お？…ッブ！！！すまん！面白いな！！」
「今笑いました？」
カラ松先生は「ごめんごめん」と言ってマフラーを首にかけ直す。顔が見えて目が合うと「やっと話せた。」と少し安心した顔をする。
「…長嶋さんが、逃げるから話せなかった。」
「すみません…」
「嫌われてるのかと思って何度もおそ松に聞いたよ。でも、おそ松全然変なことしか言わないから話にならなかった…クソ長男…」
「………すみません。」
変なことってどんなことだ、と気になったけどコロコロ表情が変わるカラ松先生は久々に話すと面白い。
「オレも今からマイホームにゴーホームだ」としらけたことを言うとカバンから青いマフラーを出す。
「あのさ、」
「はい。」
「……話したいことも積もってるしオレの車で一緒に帰らないか？」
「へ、」
少し耳の赤くなったカラ松先生は「イヤミにバレないように送る。」とボソッと言った。
…本来なら断るべき。
だけど。
断らなきゃいけないのに、どうしてもカラ松先生にちょっと困った顔をさせるのが申し訳なくて「…お願いします」と言う。
自分ダメだなぁ、ほんと。
パァーっと喜ぶカラ松先生は「下に車持ってくからちょっと待ってて」と嬉しそうに言って走っていく。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 161人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
永松(プロフ) - ぐはっしぬ一松イケメンすぎるしトト子ちゃん可愛いしもうやばいこんな作品作ってくれてありがとうございます！ (2022年11月16日 21時) (
レス) @page50 id: a7a9653a86 (このIDを非表示/違反報告)
も - パスワード教えていただきたいです！ (2021年10月4日 17時) (レス) id: d81adfc2e6 (このIDを非表示/違反報告)
松野クロ松 - あー…一松先生のこと好きな人が増えなくてよかったけど…いやいやいや！！言い方ひどくない！？別に人の気持ちを踏みにじるつもりないから！！ (2021年9月22日 18時) (レス) @page45 id: 298605cae4 (このIDを非表示/違反報告)
松野クロ松 - ……嫌な予感するぞこれ……まさか後輩も先生のことが好きとか……まさかーそんなことないよねー……ほんとにそんなことあったらショックだわ…私転校するからいとこともみれなくなるんだよなー…まぁ悲しんでる暇なんてないけどね！！ww………続き気になる…www (2021年9月16日 22時) (レス) id: 298605cae4 (このIDを非表示/違反報告)
ずんぐり(プロフ) - 松野クロ松さん» コメントたくさんありがとうございます！いつもたくさんコメント頂けて私も嬉しいです！これからも頑張っていきます！(*^^*) (2021年9月11日 21時) (レス) id: c79d92d7a8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ずんずんずっくり | 作成日時：2021年3月23日 14時
