215.ただの生徒 ページ20
*
「どうせおそ松兄さんのことでしょ」と一松先生は言う。すっかりお見通しなこと言われて私は何も言えない。
また先生達に迷惑かけてしまう。
ダメなのに。
「…な、何も無いですよ!!至って普通ですって!」
「普通?どこが。」
「どこ…って…その……、」
一松先生とカラ松先生に遭遇してただ少し話しただけなのに、すぐこう…見透かされる。
何も出てこない。
何も無いです、って言いたいのに、そう言ったら言ったで自分のモヤモヤも消えないし。
かと言って、先生にまた助けて欲しいだなんてそんな厚かましいことも思えなくて。
「……あの動画、誰かが撮ったんだよな。」
「多分、生徒だと思う。」
「………。」
「学校にそんなやついるか?」とカラ松先生が言うと「いるよ、そんなやついくらでも」と言う。
先生のことを好きな牧野さんが、あの動画を見せてきたことを思い出す。
ここで、「牧野さんです」って言ったらどうなるんだろうか。
一松先生は牧野さんを徹底的に嫌うのかな。
「…知ってんの?」
「っ!いや、知りません!!!」
「嘘、知ってるよねその反応。」
「………し、知りません!!!第一、脅されてなんていませんし…!!」
「……。」
一松先生はなんだか不服そうな顔をして「ふーん」と素っ気ない反応をする。
私が隠してることはきっとバレてる。
「…お、思い込みですよ!きっと!」
「…。」
「私、学校とっても楽しいですから!!冬休み入っちゃって寂しいなぁって!!」
「わざわざ心配ありがとうございます」と慌てて言うと、部室に戻らなきゃという思いと、先生達にこれ以上は不審がられるという焦りで小走りで階段を駆け上がっていく。
外が寒かっただけに中がとても温かく感じた。
どうしようもなく情けない自分と、先生達に無理できない思いがあふれる。
先生には、先生でいて欲しい。
私が、安易に近づいて先生達の夢を壊すなんてしてしまったら戻れない。
私は子ども、先生は大人。
どんなに子どもが悪いことしても責められるのは大人になる世の中。
「私は、ただの生徒だし…、」
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永松(プロフ) - ぐはっしぬ一松イケメンすぎるしトト子ちゃん可愛いしもうやばいこんな作品作ってくれてありがとうございます! (2022年11月16日 21時) (レス) @page50 id: a7a9653a86 (このIDを非表示/違反報告)
も - パスワード教えていただきたいです! (2021年10月4日 17時) (レス) id: d81adfc2e6 (このIDを非表示/違反報告)
松野クロ松 - あー…一松先生のこと好きな人が増えなくてよかったけど…いやいやいや!!言い方ひどくない!?別に人の気持ちを踏みにじるつもりないから!! (2021年9月22日 18時) (レス) @page45 id: 298605cae4 (このIDを非表示/違反報告)
松野クロ松 - ……嫌な予感するぞこれ……まさか後輩も先生のことが好きとか……まさかーそんなことないよねー……ほんとにそんなことあったらショックだわ…私転校するからいとこともみれなくなるんだよなー…まぁ悲しんでる暇なんてないけどね!!ww………続き気になる…www (2021年9月16日 22時) (レス) id: 298605cae4 (このIDを非表示/違反報告)
ずんぐり(プロフ) - 松野クロ松さん» コメントたくさんありがとうございます!いつもたくさんコメント頂けて私も嬉しいです!これからも頑張っていきます!(*^^*) (2021年9月11日 21時) (レス) id: c79d92d7a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ずんずんずっくり | 作成日時:2021年3月23日 14時