211.話してはいけない ページ16
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「じゃ、今日の練習ここまでー」
部活が終わるといそいそとみんなは帰る準備をする。
部活ノートの当番が久々に回ってきて、長くなりそうだったからみんなには帰ってもらうことにした。
秋は、日が落ちるのが早い。
少し冷えるし、暗いし、なんか虚しいしいい事なんてあんまりないけど友達と帰れる日は楽しくて好きだったりする。
秋からバス登校も無くなって、しぶしぶ自転車に変えた。
バスを待つことも無くなった。
だから先生達と会うこともめっきり無い。
これなら牧野さんに何か言われたりすることも減る。
もうずっと話してない。
「えーと、…今日何練習したっけ、」
独り言ブツブツ呟きながら、
今日の練習の反省を書く。
…牧野さんは、一松先生に勉強教えてもらったんだろうか。
きっと、距離近くてドキドキしてるんだろうな。
私には「勉強教えてください」なんて言える勇気全くないけど。
「って…」
いやいやいや、待って。
考えれば考えるほどそんなことばっかりすぎない?
私気にしすぎだよね。
でも気にすれば気にするほど、はかどらない。
バカだな…
「失礼しまーす」
「っ、、ひっ!!!!」
「あれ、開いてる。」
いきなりガチャ、と音がしたと思えば見たことある足の長さが見える。
声の低さ、服装、話し方で一瞬で分かった。
「い、一松先生、」
「…あ、お前か。」
「え、あ、こんにちは、…じゃなくてこんばんは。」
急なタイミングでビビった。
この状況はまずい。
牧野さんに恨まれるやつだ。
拡散されると思った私はすぐに口を手で覆う。
「…なにそれ、オレになんか当てつけ?」
「ち、違います!…そうじゃなくて。」
「ビビった顔してやんの。」
しどろもどろしてる私を笑いながら一松先生は私の目の前の机の椅子を出してドカッと座る。
初めて音楽室に見回りに来たあの時を思い出す。
真っ直ぐ、一松先生はずいっと近づくと
私の顔を見る。
「早く書かないとお前だけ学校に置いてく。」
「……え、」
「今晩はお泊まりコースだな、ヒヒッ…」
血の気がサーッとひいて、こんな学校にお泊まりなんて地獄だと思いながら「困ります!」と言うと、
私は緊張した手でノートをそそくさと書き上げる。
慌てて書いた文字はいつもの倍に汚い。
けど、そんなことも脳裏に無かった。
一松先生は、私の気も知らないで
いつも心の隙間に入ろうとしている。
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永松(プロフ) - ぐはっしぬ一松イケメンすぎるしトト子ちゃん可愛いしもうやばいこんな作品作ってくれてありがとうございます! (2022年11月16日 21時) (レス) @page50 id: a7a9653a86 (このIDを非表示/違反報告)
も - パスワード教えていただきたいです! (2021年10月4日 17時) (レス) id: d81adfc2e6 (このIDを非表示/違反報告)
松野クロ松 - あー…一松先生のこと好きな人が増えなくてよかったけど…いやいやいや!!言い方ひどくない!?別に人の気持ちを踏みにじるつもりないから!! (2021年9月22日 18時) (レス) @page45 id: 298605cae4 (このIDを非表示/違反報告)
松野クロ松 - ……嫌な予感するぞこれ……まさか後輩も先生のことが好きとか……まさかーそんなことないよねー……ほんとにそんなことあったらショックだわ…私転校するからいとこともみれなくなるんだよなー…まぁ悲しんでる暇なんてないけどね!!ww………続き気になる…www (2021年9月16日 22時) (レス) id: 298605cae4 (このIDを非表示/違反報告)
ずんぐり(プロフ) - 松野クロ松さん» コメントたくさんありがとうございます!いつもたくさんコメント頂けて私も嬉しいです!これからも頑張っていきます!(*^^*) (2021年9月11日 21時) (レス) id: c79d92d7a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ずんずんずっくり | 作成日時:2021年3月23日 14時