53.試練 ページ5
「へ...」
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テスト最終日の2時間目。
やけに来るの遅いな...とか思ってボーッとしてたら松野先生が素早く入ってくる。横にいた百合が私に「良かったね」と謎に呟いてきた。
もしかして、バレてた?いや、言った覚えないけど。
てか、最後の最後に松野先生……
「室長、号令かけて。」
口数の少ない松野先生の声を久々に聞いた。
やっぱりこんなに声低かったっけ。
心臓の音がやかましくなって早くなっている感覚がした。周りにバレてないか気になる。
周りの人は比較的冷静でどこも見るとこないのか先生の顔見たり壁見たりしている。今までは誰が来ても私は先生の顔見たって動揺しなかったのに。
「問題用紙2枚解答用紙1枚、確認して。」
先生の声は気だるげそうだ。テスト監督なんてめんどくさい、みたいなのが表れてる感じする。
最後の教科は数学。
今までの教科は隔たりなくまぁまぁの手応えで解けた。今日の教科もまぁなんとなくでやれる気がする...とか思っていた
...んですけど。
松野先生が一緒の空間にいるのが耐えられなくなってきた。あ、いや、嫌いとかじゃなくて。
...むしろ、動揺している。
「はい、始めて。」
そんな時に始まりのチャイムが鳴ってみんなが一斉にシャーペンをとる音がした。
みんなが名前書いてる音がする。
私も名前を書いて、すぐとき覚えのある問題に手をつけた。
「……」
いや、集中しにくい。
問題は解けるけど、いつもみたいにスラスラ解ける気にはならなかった。
だって松野先生がウロウロするから。いや、こんなこと言っちゃいけないけど。見回りという名のウロウロが私を謎に動揺させる。その時にふわっと柔軟剤の匂いがした。
そしてよく私の横を通る。
そんなに回って暇なのかと思うくらい回ってくる。
いい加減椅子に座っとけよ、って思うくらい回ってくる。
しつこいの好きなのかな。
そんなことを考えながら動揺して、問題を解き進める。私に対する試練なのだろうか。
「終わり〜」
そして、50分経った頃またあの低い声を松野先生は出した。
私は謎の汗をかいていてため息をついた。
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永松(プロフ) - 夢主が恋に気づき出して意識し出しているところがたまりません可愛いです!一松sideがないのが余計夢主の心情に食い込むのがいいです! (2022年11月16日 11時) (レス) @page4 id: a7a9653a86 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ずんずんずっくり | 作成日時:2018年8月31日 16時