ブランクルーン - ﾌｪｲ･ﾙｰﾝ - (ページ22)

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❑微笑む姿ページ22

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「天馬…ｯ」
「ん……んぅ？ふぇい？」

寝室で眠る天馬の体を揺すり、不安げに見詰めるフェイの姿。
目を擦って不思議そうに何度も瞬きをし、目の前のフェイにピントを合わせる。

「フェイ？！」

慌てて飛び起きた天馬は、フェイに驚いて声を上げた。

起き抜けにフェイが居ることは勿論、「行ってくる」とサッカー塔を飛び出して行ってから数週間。
一切、連絡も無かったフェイが、目の前に居るのだ。

「ごめん、天馬……」
「や、いいけど……あ、いや」

フェイの姿に何となく、急ぎの用なのだろうと理解した天馬は毛布から出ては大きく体を伸ばした。

「んーっ…と、まずは顔洗ってくるからさ！ちょっと待っててよ」
「え？あ、うん……！」

天馬の笑顔を見たフェイは、久しぶりに緊張の糸を緩めるように。
肩の力を抜いて微笑んだ。

簡単に着替えまで済ませた天馬は、湯気の立ったマグカップを手に部屋に戻ってきた。

「はい、飲むよね？」
「ありがとう」

一口飲めば、甘いココアが口いっぱいに広がる。
優しく暖かい。天馬の傍はいつだって陽だまりのように柔らかくて、優し心地がする。

「それで、どうしたの？」

「んと……」

コップの淵を、指でなぞって少しだけ強ばった表情で天馬を見詰めるフェイ。
唇を噛み締めては、小さく開き、閉じ、また噛み締めて。

何かを伝えようとしても、言葉にするのが苦しそうなフェイ。

「……その、」
「フェイ！」
「うわぁ？！あぶなｯ」

コップを落としそうになったフェイは、突然向き合った天馬に目を丸くして驚く。心臓がバクバクと音を立て、緊張していたことに気付いた。

「大丈夫！どんな話もちゃんと聞くから…だから、まずは話して」

ね？と安心させるような笑顔に、フェイは鼻がツンと傷んで顔を背けてしまう。

君の口から聞きたくは無い言葉があって。
どうか、知っているよ、とだけ笑って欲しい。

そんな祈りを込めて、フェイは真っ直ぐに天馬を見詰めた。

「A・ウィルドとの出会いを思い出して欲しいんだ…！」

目をぱちくりとさせ、首を傾げた天馬。

その表情に、「Aを知らない天馬」という存在に、胸が締め付けられる。どんなことがあっても、天馬だけは仲間を忘れないと

信じて疑わなかった、疑い出すなんてなかった。

肩を落としたフェイに、天馬は寄り添うように肩に手を置いた。

「大丈夫？フェイ…」
「……っ」
「Aと会った時のだよね、ええっと……」

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