ポートマフィアの開かずの間

#11 ページ11

NOside 過去


あれからしばらくたち、

Aは段々と打ち解けるようになった



名前を呼ばれること以外は受け入れるようになり

扉越しだが、殆どの人たちと関わりを持つようにもなった


いろんな人を通し、関りを持ちたがっていた




中原とは嫌がらせを受ける同士ということで

梶井とは扉前で爆弾の実験を

尾崎とは元々関りがあったこと

織田からは咖喱の魅力についてなど




そして、皆「Aと話していて楽しかった」という結果になるのだった


だがAは一向に部屋からは出ようとはしなかった



・



太宰が任務の時は、ほとんど窓の外を見ながら待ち


毎日あの部屋へ行くのが憂鬱だった太宰も

一日の大半をAと過ごすようになり


互いに依存しあっていた




だけど、これはある日Aが発した一言で終わってしまった


『なんでマフィアへ入ったの?』




・




・




太宰はなんないように答えた


太宰「マフィアに居れば何か生きる意味が見つかるのではと思ったからだ」


『じゃあ、見つからなかったら死ぬの?』

太宰「君が居る間は大丈夫だ」



太宰は、名前で言いたいところを抑え、二人称で答える

おそらくすべて未遂で終わっているからだろう



『私は限界が知りたくてマフィアへ来たの』

太宰「限界とは"死"だ」


Aは一寸黙ったが、話を続けた




『だから....もし誰かがそう云うなら
私は喜んで死を受け入れようと思う....』



太宰「試してみる?」



どこから取り出したのか、太宰は練炭とライターを持ち

ふざけ半分でAへ問いかける




Aの答えは、

『怖いけど...是非やらせてもらう』



迷いはなく、洗われた後のように清清しい表情だった

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