25. ページ29
「声が大きいよ」
クラス中から突き刺さるような好奇心の眼差しを見ないようにしながら、佐伯さんを睨みつけてみると彼女は申し訳なさそうに眉を落とす。
クラスメイトの興味は直ぐに別のものに移っていったのだが、さっきよりも声のボリュームを下げる。
まぁ、行かないという選択肢はないのだから話し合っても無駄なのだけど。
送り主の名前を読み返してみてもやっぱり誰だかはわからない。
学年と組を書いてくれれば、よかったのだが、苗字だけでは人に聞いても分からないだろう。だって、佐藤って書いてあるし。
佐藤さんは日本の中で一番多い名前じゃないか。この学校に何人佐藤さんがいると思ってるんだ。
＊＊＊
「下で待ってるからね」
放課後、手紙の主に会うため教室を出ようとした私に佐伯さんはものすごくいい笑顔で手を振ってきた。
こりゃ帰り道では質問攻めを食らうんだろうなぁ…
苦笑いを零しながら、屋上への階段を少し急ぎ足で登る。
分厚いグレーの扉にたどり着きドアノブを回しぐっと押すと、扉は思っていたよりもずっと重くキィっと嫌な音が響く。
夕焼けの赤みを帯びた日の光は淡い水色の空に綺麗なグラデーションをかけている。
その中にぽつんと一人佇む男の子の背中が見えた。
身長はそこまで高くはなく、標準体型で、日本人らしい黒髪。靴に入ったラインを見ると、一つしたの学年の後輩くんらしい。
男の子は物音に気づくとこちらを振り返ったので、一瞬視線が合うと恥ずかしそうにすぐ逸らしてしまった。
「えっと、あなたがこの手紙の差出人ですか？」
「あ、はい！そうです」
まだ声変わりしてない高めの声で、慌てて、返事を返したような彼は、来てくれてありがとうございます。と嬉しそうに笑った。
素直に、可愛らしい子だなぁと思った。
「なんで私をここに？」
「それは、言いたいことがあって…」
最後の方は段々と声のボリュームが小さくなっていき、俯いてしまったかと思えば、男の子は1度深い深呼吸をして、何かを呟くと突然ばっと顔を上げる。
その表情はさっきとは違って、凛々しく、何かを決心したようなすっきりとした表情だった。
「あの、この間購買で俺が100円落とした時、拾ってもらったんですけど、覚えてますか？」
「え、あ…そういえば」
「あの時！一目見てすごく綺麗な人だなって思いました！」
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 106人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきな(プロフ) - 松野家兄さん方ナイス！でもあなた方は男性なんで女子の私に任せてください！精神的につぶしますから(笑顔)モブ女子？さん！少しお話しようか！(黒笑)…これからも頑張ってください-w続き楽しみにしてます-w (2019年2月25日 22時) (
レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
夜空(プロフ) - 続きみたい (2019年2月25日 18時) (レス) id: 2ba1387257 (このIDを非表示/違反報告)
珠愛(プロフ) - 凌さん» コメントありがとうございます！お褒めいただきありがとうございますっ！！とても嬉しいです！おっそい更新で申し訳ございません…頑張ります (2018年7月28日 15時) (レス) id: 600712081e (このIDを非表示/違反報告)
凌 - 凄い小説作るの上手で羨ましい限りです…更新ファイトです！ (2018年7月28日 15時) (レス) id: 6cdbac58dc (このIDを非表示/違反報告)
珠愛(プロフ) - 京松（ちかまつ）さん» 京松さん、コメントありがとうございます！返信遅れてしまってごめんなさい…。私の名前は珠愛とかいてしゅなと読みます。読みにくい名前なので謝らなくても大丈夫ですよ^^更新頑張りますので、これからもよろしくお願いします！ (2018年4月6日 16時) (レス) id: 600712081e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：珠愛 | 作者ホームページ：ニャンニャンニャン♪♪♪
作成日時：2017年9月22日 19時
