松野家の六つ子に妹ができた話。

20. ページ24

「いや、でも私は皆さんより年下ですし…」

「あっ、そうじゃなくってさ」


呼び捨てになんて出来ないと言うと、チョロ松さんは少し苦笑いを浮かべながら言葉を続ける。


「兄妹になったんだから、せめて兄さんとかって呼ばれるといいかなってね」


どうかな？そう遠慮がちに問いかけてくるチョロ松さんの言葉にすぐに反応することが出来ず、ぽけっと見つめていると、
その隣にいたおそ松さんが続ける。


「そーそー、チョロちゃんの言う通りよー？俺的にはお兄ちゃん♡とかの方がいいけど」

「うわ、ないわー、男の裏声とか」


おそ松さんが裏声でお兄ちゃん♡なんていうものだから、気持ち悪いとか痛いとか散々な言われようで…いや、私も少しあれだったけど。

でも、兄として接してほしいという思いは同じだと、彼らがいうものだから私はどう返せばいいのかわからず、えっと、あの…えぇ…なんて言葉にもならないような声が出る。


そんな事を言われたのは初めてだった。

ただの親戚、それもずっとずっと遠い、他人と言ってもいいほどの相手なのに。


「あー、嫌なら無理にとは言わないから」


私の様子を見て申し訳なさげにそういったチョロ松さん。
気を悪くしてしまっただろうか。


「いや、嫌ではないです！ただ、なんでかなって。…私、皆さんと会ったのは昨日が初めてですし…親戚なんて言ってもほぼ他人みたいな感じなんで…」


おそ松さん達は私の話を聞きながら、時折相槌を打ちながらどこか納得したような表情を見せる。


「なんだ、そんなことかー」


ほっと域を吐き出して、安心したような声を出したトド松さんは「気にしなくていいよ！そんなこと」と人懐っこい笑顔を向けてくる。

トド松さんだけではなく皆がどこか安心したというような笑顔で私を見ていた。


「まぁ、俺らだって話聞いた時は驚いたもんよ？今頃妹ができるってさ、しかも女子高生っていうじゃん。すっげぇびっくり」


「でもさ、」

机に片肘を付いてけらけらと笑いながら話し出したおそ松さんは、そこで肘をつくのをやめて私をまっすぐと見つめる。


「もう昨日からAと俺達は家族になったんだ。もう、他人じゃない」


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いつの間にやら、お気に入り数が増えていてびっくりしました。

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