White Linaria .【黒】 (ページ35)

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倒れようとした私は目を瞑った。

しかし痛みは感じなくて、私が感じたのは温もり。

目黒「大丈夫か？」

どうやら、私は目黒の胸に倒れ込んだようだ。

倒れ込んだと同時に、目黒の手が私の背中に回って
抱きしめられている形になってしまった。

『あ、…うん。だ、大丈夫』

パッと目黒から離れて距離を取った。

目黒「どこかぶつけてない？」

顔を覗き込むように心配してくる目黒と反対に、
私は目黒の顔を見れない。

『……っ、平気！ありがとう』

どうしてドキッとしてしまったんだろうか。

たぶん、あれだ。

こんな風にされたことがないから緊張したんだ。

そう自分に言い聞かせる。

目黒「あーあー。また明日から大学か」

目黒がつまらなさそうに言った。

『きちんと講義は受けようね』

目黒「…はーい」

目黒の家とは真反対の方向にあるから、
私は帰り道の方に体を向ける。

『じゃあ、また明日』

目黒「待って」

ん？と思いながら、体ごと目黒の方に振り返る。

すると、ぎゅっと包み込まれた。

突然のことで動揺してしまう。

『え、…っ、め、目黒…！？』

目黒「どう？」

『へ…っ？』

抱きしめられたまま目黒は私に問いかけた。

目黒「抱きしめられてどう思った？」