あの日に始まった片想い【◇】

story 16 ページ17

予選も始まり、夏の暑さは厳しくなってきた。


今日も選手達は暑さに負けずしている。

私もしっかりサポートしなければと力が入る。



「しかし今日は暑いですね…」

『ねー。まだ朝の10時なのに…』


練習が始まって1時間。
午前中にも関わらず気温が上昇しているのが肌で感じられた。


「マネージャーのみんなも水分は摂ってね」

『はい』
「はい！」

高島先生に言われて私と春乃ちゃんは返事をした。



「A先輩、顔色悪いですけど大丈夫ですか？」

『最近、食欲なくて…朝はカフェオレを
飲んできただけなんだよね…』

「ええ！？ちゃんと食べてください！
カフェオレ好きなのはいいですけど…」


最近、暑さのせいなのか食欲がなくなってきた。

大好きなカフェオレは飲めるけど
満腹感があってご飯はあまり食べてない。








『皆さんお疲れ様です！ドリンクとタオルです！』


練習開始から2時間後。全体での休憩時間になり、
私たちマネージャーの仕事の時間になった。


「今日はA先輩の考案でレモンのハチミツ漬けも
用意してます！」


春乃ちゃんの言葉に選手達が集まってくる。

「ありがとう矢崎ちゃん」

「俺も1枚貰うね」

増子先輩や小湊先輩を筆頭にみんなが手をつける。


(頑張って作った甲斐があったな…)



「ん。美味しい。ありがとうなA」


ひと口食べた後に御幸くんがにこっと笑った。


『っ、ううん。お安いご用だよ…』

「A？どうしたの？」



御幸くんに言われて気づいた。

何か目の前がぼーっとしてあまり集中できていない。



『だ、大丈夫だよ…！だから、心配しない…で…』



次の瞬間、目の前が暗くなってそこで意識を手放した。

story 17→←story 15

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す