第七百九十八訓 ページ32
将軍暗殺騒動から、数日が経った。
江戸へと戻った私達だったが、こんな状況下でのほほんと過ごせる訳もなく……将ちゃんは京への移動を余儀なくされた。
「将軍さま、本当に行ってしまわれるのですね」
「ああ、この国をこのまま天導衆や喜々公の好きにさせる訳にはいかぬ…しかし江戸にはもう私の居場所はない。ならば京にて再起の時を伺う」
『………。』
将ちゃんの狙いは、かつて幕府から追われた仲間を集め天子を動かし新政権を樹立させること。
天導衆に歯向かうにはそれしかない、一筋の光というやつだ。江戸を愛した者として私たちはそれに賛同した。
「だが天導衆と完全対立させる訳にもいかん。だからこそ…
_____将ちゃんの愛したこの地は、私達真選組と…その仲間が絶対に守り抜くと。
(将ちゃんと一緒に京へと行ったのはそよちゃんと幕臣、そしてとっつぁんだけど……それだけ着いていけば充分だ)
何より将軍暗殺によっての戦いの被害は決して小さくなかった。銀時君は随分と長い間の入院だし、近藤さんとトシも包帯ぐるぐる巻き。
こうして語っていられる元気がある私だって骨折れまくってるし。
(でも、休んでなんて居られない)
______喜々が国民に自分が将軍の座に就いたことを公表し、彼らを丸め込もうとしているのだ。
(これからの時代がどうなるかなんて分かんない。兄弟子との会話だって不十分だし、どうしたらいいかなんて全部分かんないよ。
でも将ちゃんの居留守を守ると決めたんだからやれる事は全部やらなきゃ…きっと今頑張れば、この歩みの先に斜陽が差すから)
間違いなく喜々は暗君だし国を滅ぼしかねない悪手しか取らないだろう。
だが口ではどうとでも言える。将ちゃんが居なくなって混乱した今だからこそ、きっとそこに漬け込んでくる。
だから護る、護るんだ。彼の地を。
将軍の忠臣ではなく…茂茂の、ダチ公として。
『将ちゃん将ちゃん、京に行って落ち着いたら手紙の一通くらいは寄越してね。私……待ってるからさ』
「!あぁ……そうだな。約束しよう」
______彼を、待ってるから。
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RENKA - 初コメ失礼します、感動しました号泣です涙止まんないです!!心がキュンキュンしました!!もうキュンキュン通り越してギュンってなりましたよ!← これはホント何回みても飽きないですマジで!!最高っす!!!ってことでちょっともう1回読んできますね(( (2022年7月5日 11時) (レス) id: 345a1df315 (このIDを非表示/違反報告)
ミウラ(プロフ) - 涙止まんなすぎてバスタオルで拭きました最高ですめっちゃ感動しました!!!!! (2022年7月4日 21時) (レス) @page41 id: 3103cb23ea (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - イルさん» 将軍暗殺篇はこれにて閉幕です、NEXTとしてはさらば真選組編ですね!!ハンカチのご用意を……w結構心理描写が精神的に来るものがあると思われますです……更新頑張ります!将軍暗殺篇ありがとうございました!! (2022年7月4日 21時) (レス) id: 2209f9ef43 (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - 雑草のかきあげ(仮垢)さん» 最初からw!?!かなり長いですよ!?w大丈夫ですかほんと無理しないでねw!?!更新頑張りますw将軍暗殺篇ありがとうございました!! (2022年7月4日 21時) (レス) id: 2209f9ef43 (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - つなかんさん» いやこちらこそぎゅんぎゅんして頂いた様で(?)良かったです、更新ノロマですが宜しくお願いしますw!! (2022年7月4日 21時) (レス) id: 2209f9ef43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:実珠 | 作成日時:2022年5月3日 15時