第七百九十訓 ページ24
朧は編笠を少し弄りながらその底なし沼の瞳をこちらに向けた。
朧「存外食えぬ男であったな。
『……』
朧「天導衆の対抗馬として地位を固めてやったにも関わらず、将軍の座をくれてやると申したらあっさり恩を忘れお前達を"賊"と斬り捨てたぞ」
まあ、俗に言う塵屑って奴だな。性格悪そうだったし。
朧「本当に愚かなものだ。暗君を利用するつもりが逆に利用されていたとは……お前達の剣は、もう天には届かぬ」
『……。』
私は、ふぅ。と浅く呼吸をした。朧の冷たい言葉など脳には残さない。私の大切な記憶の欠片の中にはそんなもの、不必要だ。
『………烏…いや、朧。言いたい事は、それだけ?』
朧「……。」
あっさりとした様な雰囲気でそう問えば、朧は少しばかり瞠目した。それに少し気分が良くなる。烏のその憎たらしい鉄仮面は結構気に食わなかったから。
『剣が天に届かないとか、将軍の座取られたとか……どうでもいいよ。私が愛した優しい将軍はそんなんで折れる程ヤワじゃない。
私が想う逞しい兄弟子共は、こんなのでへこたれる程腰抜けじゃない。塵を漁る烏を追い払うなんて朝飯前だよ』
真っ直ぐ。背筋を伸ばして。
『は、そういやお前…隈が凄いな。睡眠不足か?なら私が眠らせてやるよ。ただし永遠に目覚めないけど』
どこぞの兄弟子みたいに喧嘩っ早く。
どこぞの先生みたいにお茶目に。
どこぞの仲間みたいに煽りまくって。
朧「……松陽もあの世で嘆いていよう。弟子達が揃いも揃ってその命を散らせていくことを」
『!』
__________ドッッ、!!!
朧を筆頭に、その場にいる奈落の部隊が一気に飛び掛かってくる。レディーに対してよくもまあ大人数でぞろぞろと…随分と失礼な事だ。
だが自分で煽って誘惑したのだから、責任もって最後まで御相手しなくちゃね。
『なぁにが、先生があの世で嘆いてるだよ……』
飛びかかってきた奈落達を、まるで踊っているかのような軽やかな動きで跳んで避ける。
空中で体を捻って刀を素早く動かし3、4人斬り伏せた。着地した後はゴロゴロと転がって受け身をして距離を取り死体を盾にしながら前の奴の心臓を一突き。
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RENKA - 初コメ失礼します、感動しました号泣です涙止まんないです!!心がキュンキュンしました!!もうキュンキュン通り越してギュンってなりましたよ!← これはホント何回みても飽きないですマジで!!最高っす!!!ってことでちょっともう1回読んできますね(( (2022年7月5日 11時) (レス) id: 345a1df315 (このIDを非表示/違反報告)
ミウラ(プロフ) - 涙止まんなすぎてバスタオルで拭きました最高ですめっちゃ感動しました!!!!! (2022年7月4日 21時) (レス) @page41 id: 3103cb23ea (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - イルさん» 将軍暗殺篇はこれにて閉幕です、NEXTとしてはさらば真選組編ですね!!ハンカチのご用意を……w結構心理描写が精神的に来るものがあると思われますです……更新頑張ります!将軍暗殺篇ありがとうございました!! (2022年7月4日 21時) (レス) id: 2209f9ef43 (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - 雑草のかきあげ(仮垢)さん» 最初からw!?!かなり長いですよ!?w大丈夫ですかほんと無理しないでねw!?!更新頑張りますw将軍暗殺篇ありがとうございました!! (2022年7月4日 21時) (レス) id: 2209f9ef43 (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - つなかんさん» いやこちらこそぎゅんぎゅんして頂いた様で(?)良かったです、更新ノロマですが宜しくお願いしますw!! (2022年7月4日 21時) (レス) id: 2209f9ef43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:実珠 | 作成日時:2022年5月3日 15時