３４話 ページ36
サングラスをかけてすぐ目に入ったのは空中にいるルッスーリアさんの左膝に先輩の左拳が当たるところがだった。
最初からサングラスをかけていたルッスーリアさんに対して先輩は裸眼。
眩しいフィールドで目を開いていられるはずもなく目を固く閉じていた。
そのハンデを感じさせない命中に希望を抱くが、それは一瞬にして砕け散る。
先輩はロープに体を焼かれながら左膝に当てた腕を血まみれにしたからだ。
そしてそのまま倒れ込む。
ルッスーリアさんの左足には鋼鉄が埋め込まれていたらしい。
そこに先輩は思い切り拳を当てた。
この勝負中、左拳は使用不能となった。
「やべーのはそれだけじゃねーぞ。了平のやつライトの熱にやられて脱水症状が始まってる」
苦しそうな先輩に私たちが出来るのはただ勝利を願い続けて応援すること。
なんて無力なのだろう。
「立てコラ！」
突然、子どもの可愛らしい声がきこえた。
「コロネロ！」
迷彩のバンダナをした赤ちゃんが鳥にぶら下げられて登場した。
傍から見れば危ない状況のそれも、リボーンくんや昨日の子と同じ部類の赤ちゃんなのだろうとなんとなく察する。
「そろそろ頃合だぜ。お前の本当の力を見せてやれ、了平！」
「その言葉を待っていたぞ！」
汗が蒸発する音をさせながら、肘まで真っ赤になった左手をだらりと下げて先輩は起き上がった。
強気な発言をする先輩だが変わらず殴られて床に転がる。
それでもすぐさま立ち上がり、右拳のアッパーをくらわせた。
吹き飛ぶルッスーリアさんは華麗に着地を決めて余裕そうにしている。
――直後、リングの天井に取り付けられていた照明が割れた。
天井へ向かってそのまま無数のパンチをくり出す先輩だが、それは天井へは届かない。
にも関わらず、照明は次々割れていった。
「刮目！」
目を開いた先輩。
眩しさが消え、私たちもいっせいにサングラスを外した。
汗の水分のみが蒸発していたため、先輩は汗に含まれ残っていた塩分を拳に乗せて散弾のように放っていたのだとルッスーリアさんによって種明かしされた。
「そんなことができる人が一般人……？」
呆気にとられていると、相手も同じことをやってみせた。
「私たちとあなたたちでは実力に差がありすぎて、遊びにはなっても戦いにはならないのよ」
俊敏に動き回るルッスーリアさんの残像は、まるで分身でもしているかのようだった。
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小学7年生(プロフ) - 雛。さん» 雛。様、コメントありがとうございます！そのコメントが嬉しいです〜！！ちまちま更新しますので今後ともよろしくお願いします！ (2021年12月8日 18時) (
レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
雛。(プロフ) - 加筆嬉しいです。ありがとうございます (2021年12月8日 8時) (レス) @page11 id: 9ec0000aae (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - 弥冬さん» ありがとうございます！ これからもニヤニヤしながら読んでいただけるよう頑張ります！！ (2020年4月14日 14時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - 霧菜☆紗理屋さん» そう言って頂けて本当に嬉しいです！ これからも読んでくださると嬉しいです！！ (2020年4月14日 14時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
弥冬(プロフ) - 面白くてニヤニヤが止まりません！応援してます (2020年4月14日 0時) (レス) id: 0c4007c939 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小学７年生 | 作成日時：2020年4月13日 11時
