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無題77 ページ34

Aside



私は床の上に倒れていた。


外はもう悲鳴や怒号は止んでいた。
どれくらいここで倒れていたんだろう。

日付も時間もわからない。
また誰かを捕まえよう。

様子を窺いながら、外に出るが物音一つしない。
もしかして死後の世界?

手の甲をつねったが、痛い。


展望台に行けばミザさんかナキ、どちらかはいるだろう。


ザクザクと枯れ葉を踏みなが、歩いた。
死体が1つ、2つ、3つ。


喰種や捜査官の死体は折り重なっている。
このあたりでも戦闘があったのか。

よく本拠は無事だった。
私が来る前に襲われてはいたが。

どの死体も苦しそうな顔をしている。
せめて、瞼だけでも。


そっとそばにしゃがみ、顔に触れた。
土埃を払い、瞼を下ろそうとした。

でも、出来ない。
もう硬直してしまって動かなくなっていた。

硬直しているならば、死後2日程度だろうか。


私が通ったときはここに死体はなかった。
となると、私は2日は寝ていたことになるのか。

ミザさんたちは無事だろうか。


少し歩いただけなのに、もうダルい。
倒れていた間は何も動いてないから、筋力も落ちる。

2日丸々動かなかった日なんてなかったから、辛い。


捜査官だったから、毎日案件を片付けたり、見回りをしたりしていて休んでなんかいなかった。
アオギリにきてから、ようやく暇な日というのを味わった気がする。

でも流石に2日以上も寝ていた日はない。


息を切らしながら森の中を進んで行く。
また頭が痛くなってきた。

でも倒れるレベルじゃない。


もうすぐ展望台だ。
なんとなく、血の匂いと海の潮の匂いが混じって臭う。



《流島上陸6日目、12月20日、0521…殲滅率が98%を突破した___》


12月20日って…
倒れていた時間は2日ばかりじゃなかった。

こんなにも体を動かしてなかったとは。
それにしても、98%はほぼ壊滅じゃないか。

ミザさん、ナキ、タタラ…


広いところに出た。


いくつも転がる死。
その真ん中に立っていた。


A「コオリ…」


どんな言葉をかければいい?


久しぶり?
何でいるの?
好きだよ?

ぐちゃぐちゃと言葉を回る。

気づけば目から水が垂れた。


宇井「最後の手合わせをしよう」


コオリはタルヒを構えた。
昔も同じ構え方をしていた。


最後の手合わせ。

それに答えるのが“上官”の役目だろう。


私は4本の鱗赫を伸ばした。

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アイリ - 更新お待ちしておりました! (2018年4月10日 8時) (レス) id: f779a5fce5 (このIDを非表示/違反報告)
バニラ(プロフ) - すごく宇井さんに会いたいっていう夢主と、夢主に会いたいっていう宇井さんの気持ちが切ないです・・・!続き、楽しみにしてます! (2018年1月5日 22時) (レス) id: 0c2606bdd5 (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ - わわー!続編があります!!宇井さんかっこいい....宇井さんが出てくる度にドキドキします!更新頑張ってください!!ι(`v´)/ (2017年10月19日 22時) (レス) id: 242ab48235 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐面少女 | 作成日時:2017年10月13日 21時

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