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無題61 ページ18

私はモヤモヤとした気持ちを抱えながら、墓に向かった。

空っぽのAの墓は、今日もきれい。


宇井「どこにいるの、A」


習慣になってしまってここにいるものの、話す気になれない。

もしかして、本当にいるのなら。

 
宇井「私…話がしたいよ」


ずっと後ろにいた気配。


以前からすれ違っていたよね、私達。

あのときも、あのときも。
Aはずっと、自分の墓を見て何を思ったんだろう。



宇井「A、かくれんぼが好きなわけ?」



「そんなに好きじゃない」



振り向くと、そこには誰もいなかった。
ぽつん、と花束だけが落ちていた。

ほら、居たんだよね。

どうして逃げるんだろうね。



◆◇◆


「フーッフーッ……アッグゥ……」


何度目だろう。
 


「ア゛ァ゛ァ゛アアァアア!!!!」


「っ!!」


いつも、止めてくれる。
この飢餓症状、私、ほんとに駄目だな。


A「ありがと…ヒナちゃん…」


ヒナミ「ううん、いいの…」


そのままヒナミちゃんはレジャーシートを敷いた。
その上で、予めポットに入れていたコーヒーを、カップに注いでくれる。

至る所に傷を作った私は、そのレジャーシートを汚しながら座る。


ヒナミ「お砂糖は?」


A「3つ」


ヒナミ「1つ減ったね」


A「このあと赫包食べる予定だから」


ヒナミ「そっか。はい、どうぞ」


一ヶ月に一度ほど、私が猛烈な飢餓症状に襲われる。

人間を食べなければいけないが、私にはとても食べられない。

でも、食べなければ生きていけない体になっている。
変わりに、喰種の赫包を摂取しているが、やはりそれではだめだと体は訴える。

飢餓症状が出そうになると、私は空き部屋に逃げ込む。
どうしても赫子が暴走を始めてしまうから。

そのたびにヒナミちゃんは私の事を止めてくれる。

痛みによって意識が戻るから、ヒナミちゃんは赫子で私を刺す。


決まってその後はコーヒーを飲む。
あんなにも苦くて嫌いだったコーヒー。

こんなにも美味しいなんてね。


ヒナミ「次はCCGは月山さんを殺すんだって」


A「へえ…またたくさん死んじゃうね」


ヒナミ「悲しい?」


A「悲しいさ。どっちが死んでも」

 
この前、初めてアオギリ側としてCCGとぶつかった。

誰も殺せはしないから、見ているだけ。


喰種が死ぬ姿も、捜査官が死ぬ姿も悲しかった。



なんて中途半端な生き物なんだろう、私は。

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アイリ - 更新お待ちしておりました! (2018年4月10日 8時) (レス) id: f779a5fce5 (このIDを非表示/違反報告)
バニラ(プロフ) - すごく宇井さんに会いたいっていう夢主と、夢主に会いたいっていう宇井さんの気持ちが切ないです・・・!続き、楽しみにしてます! (2018年1月5日 22時) (レス) id: 0c2606bdd5 (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ - わわー!続編があります!!宇井さんかっこいい....宇井さんが出てくる度にドキドキします!更新頑張ってください!!ι(`v´)/ (2017年10月19日 22時) (レス) id: 242ab48235 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐面少女 | 作成日時:2017年10月13日 21時

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